【国内最強の創薬ベンチャー】そーせいグループの強みと将来性を徹底解説

そーせいグループの強みと将来性 バイオベンチャー分析

こんにちは。ティーダです。

突然ですが、そーせいグループって知ってますか??

おそらく製薬業界にいたら一度は耳にしたことがあるバイオベンチャーだと思います。

最近だとアルファベット (グーグルの親会社) 傘下企業との提携が発表されていましたね!(2022/1/7)
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/22420/

しかし、具体的に「何を強み」としていて、「どんな技術を持っている」のか知らない方も多いでしょう。

そこで、今回は現在「最も世界から注目されている国内創薬ベンチャー」の一つである「そーせいグループ」の強みや今後の将来性についてまとめました。

この記事を読むことで、日本トップクラスのバイオベンチャーの技術力について理解を深めてください!

参考にしたのは、主にそーせいグループのHPとIR情報です!
https://soseiheptares.com/home?ctry=jp



そーせいグループってどんな会社なの?

グループ自体の創立は1990年になります。

最初はドラッグリポジショニングの会社として創業してビジネスをしていました。

その際にノバルティスに導出した慢性閉塞性肺疾患の薬が結構売れて、黒字化しています。(現在も販売中)

そこで2015年に、イギリスのバイオベンチャー「ヘプタレス・セラピュティクス社」を総額480億円で買収しました。

この買収したヘプタレス社の研究力が非常に高く、ヘプタレス社のGPCR研究技術が現収益の中心です。
(2015年以降の世界の製薬・バイオ企業のライセンス金額で世界第7位にランクインしてます。)

  • 平均年収は1151万円 (平均年齢48.5歳、平均勤続年数2.4年) なので、研究員はアカデミアやメガファーマから経験者を引き抜いてくるような形ですね。
  • 上場バイオベンチャーの時価総額ランキングでは、ペプチドリームの次で、国内第2位の1200億円!!(2022年2月時点)

そーせいグループの強みはGPCR構造解析だ!

GPCRって何??

GPCR (Gタンパク質共役受容体) :
体内の組織や細胞に存在する、生体で重要な膜タンパク質
のことです。

GPCRは約400個の受容体を有する最も大きなヒト膜タンパク質ファミリーを形成し、そのうち224個は未だ創薬されておらず、ファーストインクラス創薬の可能性を秘めています。

現在市販されている医薬品の約34%がGPCRを標的としており、世界全体の薬剤売上高の中で約27%に相当します。

そーせいグループの強みと将来性
そーせいグループの投資家向けオンライン説明会資料から改変

そのため、もちろん多くの企業がGPCRをターゲットにした創薬を実施しています。

しかし、GPCR創薬には世界中の製薬企業が乗り越えられない壁が存在しました。

GPCR創薬での壁

GPCRは細胞膜から抽出されると不安定になるため、GPCRの構造を解析することは難しく、立体構造解析における大きな壁でした。

そのため、立体構造をベースとした研究が出来ず、創薬は難航していました。

上記の課題のため、GPCR創薬は世界中がやりたくても進められない現状でした。

ご存じの方も多いでしょうが、「GPCRの構造と機能解析」は2015年にノーベル化学賞を受賞しています!
当時から、GPCRの構造を解明することは非常に困難で、一つ一つのGPCRの結晶構造を取るためにGPCRに研究者の勘や経験で手当たり次第に変異を入れたりして構造を安定化させようと試みてました。

今でもGPCRの結晶構造を1つ解明するだけでNature誌に載ります!

構造解析による創薬については以下の書籍で非常に分かりやすくまとまっておりオススメです!

研究の要:StaR® プラットフォーム

そんなGPCR創薬の現状において、そーせいグループの技術によって世界的ブレイクスルーが生まれました!

それが、StaR® (Stabilized Receptor) 技術になります。

StaR® 技術

GPCRのリガンド結合部の外側に少数の点変異を起こすことで、細胞膜からGPCRを抽出した後でも立体構造を保持できるようにする技術

その結果得られる安定化したタンパク質(StaR®タンパク質)は、同種の「天然型」タンパク質よりもはるかに安定したものとなる

例えば、これらのStaR®タンパク質は、X線構造解析のための結晶化が可能なため、天然型タンパク質を用いた創薬に比べて、安全性と有効性を正確に予測出来き、非臨床や臨床での開発中止率が低い医薬品を設計することが可能になると考えています。

以下にStaR®の紹介YouTube動画も載せておきます。非常に分かりやすいです! (3分位です)

既に30種類を超える受容体のX線構造解析に世界で初めて成功しており、さらにそれらの受容体が低分子薬と結合する300以上の構造を解明しました。

圧倒的な研究力:

そーせいグループを支えるのは圧倒的な研究力です!

  • Nature誌に7本構造解析の論文 (mGlu5, CCR9, GLP1R, CRF1, GCGR, PAR2, C5aR) を掲載
  • トータルの論文投稿数も200本超
  • 構造解析数も340超



世界的製薬企業との提携が多数

さらに、国内ベンチャーでは抜きん出た数の提携企業があります。

提携先の企業には大きく分けて3種類の企業があります。

  • アッヴィ社アストラゼネカ社などの導出した臨床試験中の製品を開発する企業
  • GSK社ジェネンテック社武田薬品工業Pfizer社など、単一または複数のターゲットを対象に治療薬候補の創出を提携している企業
  • Twist社、 InveniAI社Verily社などのSBDDプラットフォームを強化するために提携を結び、将来的に創薬プロジェクトの創出を狙う企業

国内のバイオベンチャーで、これだけのメガファーマと提携して研究を実施しているのはペプチドリームくらいではないでしょうか?

それだけ世界がそーせいグループのStaR®技術に注目していることが分かります。

今後の成長戦略:AI×バイオインフォ×構造解析

さらに現在は他企業との提携を通じて、さらにSBDD (構造ベース創薬) のプラットフォームを強化しようと考えています

  • Twist社:合成抗体ライブラリおよび高度なバイオインフォマティクスの専門知識を所有
  • PharmEnable社:人工知能 (AI)・医薬品化学に基づく独自の先進テクノロジーを所有
  • InveniAI社:AIおよび機械学習 (ML) を応用した創薬・開発の推進を実施
  • Verily社:免疫細胞の精密な表現型の分析と、それらの膨大なデータを処理する高度なコンピュータ技術を用いた免疫解析プラットフォームを所有

これらの提携を通じて、そーせいグループの所有するSBDDプラットフォームに更なる強みを構築し、進化していく計画です。

更なる今後の戦略

さらには単なるGPCRのSBDDだけにとどまらず、既存の強みを軸にした新たな研究領域も広げています。

そのために以下の会社と提携を結び、進めていく計画です。

  • GPCRの分解を誘導する薬剤:
    Captor Therapeutics SA との提携を通じて、GPCRの分解を誘導するメカニズムの低分子創薬を開始。 (いわゆるPROTACと呼ばれる技術)
  • イオンチャネルの構造解析:
    Metrion社との提携を通じて、GPCRだけでなくイオンチャネルをターゲットにしたSBDDを開始。(イオンチャネルは12回膜貫通とかの膜タンパク質で、構造もより複雑)

こういった提携を通じて1つの技術プラットフォームから更なる強み、技術の進化を目指してます。

個人的な見解

プラットフォームビジネスの成功例はこれだ!

おそらく多くの企業が目指している「プラットフォーム起点のビジネス」を製薬系で体現している数少ない国内企業です!(後はペプチドリームとか中外製薬とかは世界からも評価されますよね)

実質StaR®技術一つで、これだけ複数のメガファーマと提携・共同研究が可能になるとは驚きですよね。

これもひとえに圧倒的な研究力によるものだと思います。

実際、メガファーマは1⇒100にする技術は強いですが、0⇒1にする技術やアイデアはもう他から獲得することが多いですからね〜

最後に

今後の成長戦略もAIや機械学習など時流に合った戦略なので、成長が楽しみです!

今後、世界中の製薬企業は、より創薬が難しいターゲットにアプローチしていく必要があるかと思います。

そのときにこういった高度な技術プラットフォームを持った企業はより重宝されてくるでしょうね!

【絶対読むべきの書籍紹介】

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