【ちゃんと認識してる?】製薬企業研究者とアカデミア研究者の違い3選

製薬企業分析

こんにちは、ティーダです。

皆さん当然ですが、アカデミア研究員と企業研究員の違いって何だと思いますか?

企業研究員の皆さん全員が一度は大学のラボを経験してから入社していると思います。

しかし、企業で研究する上できちんとアカデミアと企業の違いを意識して働けていますか?

もしかして、大学の頃と同じような意識で実験を組み立てていませんか?

もしそうだったら、あなたは直ぐに認識を改めるべきです!!

そこで、本日は「アカデミア研究者と製薬企業研究者の違い」について、製薬企業研究者の目線から解説します。

なぜそんな話をする必要があるの?

企業とアカデミアの間には大きな違いがあり、企業で働く上で認識出来てないと困るからです

実は、私は入社後3年間ほどアカデミアの研究機関に出向経験もあります。

その経験も踏まえて、アカデミアと企業の研究の違いについて、特に新入社員の方々に再認識してもらえるように解説していきます!

私自身がバイオ系の研究者なので、バイオ視点に少し寄っていますが、ご承知おきください。



目指すゴールの違い

アカデミア研究員のゴール:論文投稿
製薬企業研究員のゴール:新薬の上市

この違いが全ての研究プロセスに対して影響を与えます。

以下に、私が思う具体的な研究プロセスに関するアカデミアとの違いを紹介します。

研究テーマの選び方

アカデミア研究では研究結果が新規・画期的で、今までの概念を覆すような結果だと良いとされる傾向があります。

しかし、製薬企業では最終的に薬にならなければ何も価値はありません。

そのため、基本的には創薬に結びつく出口をある程度想定しながら研究を開始します。

例えば、発生学の研究とかはなかなか製薬企業ではしないですよね?
それは創薬までが遠すぎるからです。。。

データの取り方

アカデミアでは論文データを取るために、様々な実験・解析を実施して、データを取得します。
その中から、より詳細で発展的な検証に深く進んでいくことも多々あります。

しかし、製薬企業では、必要以上にデータを取るよりも、事前に計画した必要な実験のデータを素早く出すことの方が大切な時があります。

特に、研究後期のプロジェクトでは網羅性よりも迅速性が強く求められることが多いです。

どれだけ少ステップで論理を組み立てられるかが大事になります。

もちろん企業でもじっくり進める基礎研究では様々なデータを取ることも大切です。

非臨床薬効が持つ意味

企業では、マウス病態モデルでいくら薬効を示しても 、治験で効かなくては意味がありません。

また、せっかく新規メカニズムの候補薬を作っても、in vivoでの薬効が低ければ、臨床試験を抜けられないことが懸念されます。

しかし、アカデミアなら、少しでもマウス薬効が出て、そのメカニズムが新しかったり画期的であるなら高インパクトの論文を出せますよね。

そういった点で、企業では常に「ヒトではどうなるのか?」を考えて実験する必要があります。

もちろん、一流ラボではヒトでの薬効や表現型を追求/推察するデータも出します。
最近の高インパクト論文ではヒトデータもほぼ必須です。

しかし、一般的なラボではそこまでは達していないのが現実だと思います。

特許に対する認識の違い

アカデミア研究の特許:ってもいいけど、論文の方が大事
製薬企業研究員の特許:絶対に死守!1番大事なもの

アカデミアに居ると特許について関心は薄いでしょう。

しかし、製薬企業は「特許こそが薬の全て」と言っても過言でないくらい大事です。

既存の報告に対して明確な新規性/発明性を得られなければ特許は取れません。

例えば、既存薬Xと既存薬Yを混ぜて投与すると薬効上がる」という報告の場合、その薬効が既報からは想定できない強さなら発明になり、特許を獲得できますが、予想範囲の薬効では特許は獲得できません。

しかし、アカデミアならその薬効メカニズムを解明し、論理的に示せれば論文になります。

つまり、研究をする上で創製する製品に特許性があって、他社から権利を守れるのか?」を気にかけるのが企業研究者です。

例えば、先日中外製薬のR&D説明会で画期的な二重特異性抗体 (CD3、CD137、ガン抗原に対する抗体) が発表されました。

しかし、そのときに投資家からの最初に質問で出たのは、「その技術の特許はどこまで守られているのか?」です。

この質問からも推察されるように、いくら革新的な技術でも特許こそが企業にとっては大事なのです。

この特許への意識の違いは、PD-1抗体での小野薬品と本庶先生の間にも見受けられました。

本庶先生はPD-1に関する特許について価値の認識が甘かったため、十分な精査が出来ず、ほぼ小野薬品の提案通りに契約してしまったのでしょう。

その後に、大きく揉めていたことは皆様もご存じの通りです。

時間感覚の違い

アカデミア研究の時間:良い結果が出るまではほぼ無限に研究する
製薬企業研究員の時間:無理そうなら早めに見切りをつける判断も大事

アカデミアでは研究において、研究テーマのタイムラインを設定しているラボは少ないでしょう

しかし、企業ではほぼ全ての研究についてタイムライン提示が求められ、いつまでにいくらの費用が必要で、どのタイミングでGo/NoGo判断をするのか、を決める必要があります。

いつまで経っても進展がなく、創薬に結びつかない研究に投資する企業はありません。

また、時間をお金で買うという感覚は企業に多い感覚ですね。

免染やELISA、フローサイトメーターは自動の機器を購入している企業が多いと思います。

アカデミアに一時的に戻って思ったこと

アカデミアとの協業は益々重要になる!!

近年、創薬の難易度は上がっていて、今までのように単純ではありません。

しかし、ただ1つの疾患・研究テーマを長年深く研究している企業研究員は少ないです。

そのため、「長年その研究している先生の基礎研究」を起点に創薬ターゲットを見出すことが益々重要になっていきます。

また、研究の技術や知識もどんどん複雑になっています。

しかし、企業では時間がかかる、複雑な実験は費用対効果が低いためやりたがりません。

その点でもアカデミアとの協業が重要になってくるでしょう!

個人的な見解ですが、近年の新薬は画期的なモダリティ」と「ターゲット」の組合せで売れている製品が多いと思います。

そのため、「アカデミアの高度な研究力で絞られたターゲット」「企業が持つ画期的なモダリティ」で狙うことでブロックバスターに近づけるのではないかと思います。

教授と企業の利益・感覚を一致させるのは難しい

上でも紹介したようにアカデミアと企業の利益や研究に対する感覚は少し異なります。

そのため、主に企業側が上手く先生方の舵を取りながら共同研究を進めていく必要があると思います。

しかし、先生も多くは権威と呼ばれる方々なのでなかなかコントロールするのも難しいです。

その辺のお互いの利害や視点を知った上で協業することは非常に重要です!

私が出向してたラボでも、先生の興味が全く創薬に関係ないところに向いてしまった経験があります。

私も立場上その研究を手伝っていたのですが、ゴールが創薬じゃないので、企業研究者としてヤル気も起きず、評価も下がりました (笑)

最後に

今回は「製薬企業研究者とアカデミア研究者の違い」について解説してきました。

今回紹介した違いを意識して、新人企業研究員の方々は研究を組み立てていってください!

既に企業研究員として働いている方々も、アカデミア感覚を持ったままで企業で研究をしていると上司から注意されるかも知れません。

また、今後益々アカデミアと企業の協業は大事になりますが、お互いの違いを知らないと協業は難しいです。

今回の記事を共同研究をする上で参考にしてください!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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