【ベンチャー版中外!?】ペルセウスプロテオミクスの強みと将来性を徹底解説

バイオベンチャー分析

こんにちは、ティーダです。

今回は、抗体医薬ベンチャーの新星である「ペルセウスプロテオミクス」の現状と将来性について徹底解説します。

同社は、抗体医薬の研究技術に幅広い強みを持つバイオベンチャーで、抗体医薬の特化型ベンチャーとして今注目を集めています。

ベンチャー版の中外製薬といっても過言ではない!?
いや、さすがにそこまでではないです笑

近年は抗体医薬の難易度も増しており、簡単なターゲットでは戦えなくなっています。

そのため、同社のような難易度の高いターゲットに対する抗体医薬を目指すベンチャーが台頭してきています。

この記事を通じて、「抗体医薬の現状・将来性」「主に使用されている基本技術等」についても理解を深めてください!



ペルセウスプロテオミクスの成り立ちと沿革

ペルセウスプロテオミクスは、東京大学で開発されたタンパク質発現・抗体作製技術を基盤として、2001年に設立されました。

当初は、核内受容体抗体を研究用試薬として販売を始め、平行で抗体医薬品の研究開発を進めていました。

現時点で、中外製薬富士フイルムへの導出品を創製しています。

2021年に、東証マザース (現グロース) に上場を果たしました。

  • 平均年収は630万円 (平均年齢49.1歳、平均勤続年数9.4年) 
    従業員数は研究開発16人、管理部5人とまだまだ小規模です。 (2022年度末時)
  • 時価総額は42億円 (2022年6月時点)
    富士フイルムが大株主にいますね!

創薬戦略とビジネスモデル

ペルセウスプロテオミクスは、主に3つの事業で収益を上げています。

収益的にはまだ黒字転換までは遠い印象ですね!
医薬品は時間がかかります。。。

  1. 創薬
    共同研究締結費、導出品のマイルストン収入、ロイヤルティ収入など
  2. 抗体研究支援
    抗体作製、配列解析など外部受託
  3. 抗体・試薬販売
    抗体、試薬の販売

医薬品でかかる時間や費用を別の事業でカバーする経営方針は他社でも行われています。

ペルセウスプロテオミクスの強み:独自抗体プラットフォームの複合

抗体医薬の基本的な作り方

抗体医薬品の研究開発において、有望な最初の抗体を作製する必要があります。

その最初の抗体の作製方法としては、以下の3つが世界的にメジャーな方法です。

主な抗体作製方法

① ハイブリドーマ法:
マウスやウサギ等の動物に目的のタンパク質を打つことで、体内で抗体産生B細胞が産生されます。
その抗体産生B細胞を無限に増殖するようにハイブリドーマ化し、その細胞から得られるモノクローナル抗体を作製する方法です。
上記の方法だと最初はマウスの抗体が得られるので、ヒト化のプロセスが必要になります。
しかし、近年はヒト抗体産生マウスを使用することで最初からヒト抗体を取得することも可能になっています。

② ファージディスプレイ法:
バクテリオファージ表面に抗体フラグメントを提示させ、目的タンパク質と反応させます。
その後、目的タンパク質に結合したファージのみを回収し、大腸菌に感染させることでファージを増殖させ、再度目的タンパク質と反応させます。
何度かの反応を経た後に残ったファージをクローン化し、発現する抗体配列を決定します。

③ 単一B細胞抗体クローニング法:
感染症やガンの患者から目的タンパク質を用いて、抗原を特異的に認識するB細胞を単離します。
それらの単一B細胞から抗体遺伝子をクローニングし、発現ベクターに導入して抗体を取得します。
この方法だと、実際の患者から抗体を取得出来るためユニークな抗体が取れる可能性も高いです。最近はコロナ患者からのS抗原特異的な抗体取得で流行っている方法です。

ペルセウスプロテオミクスでは、主に①と②の方法を用いて抗体作製を行っています。

ペルセウスプロテオミクスでは、高度な構造を持つタンパク質を安定的に発現させる技術を所有しています。

このタンパク質技術によって、従来は作製困難だったタンパク質を動物に免疫が可能になり、ハイブリドーマ法において同社の強みになっています。

抗体探索プラットフォーム:独自のファージ抗体ライブラリ

ペルセウスプロテオミクスはファージ抗体ライブラリの設計に強みを持ちます。

独自のファージ抗体ライブラリの特長

抗体ライブラリ内のH鎖の多様性を増やし、多彩な抗原を認識できる抗体の存在比率を高める

一般的に、抗体においては、L鎖よりも、H鎖の方が抗原認識に対する寄与度が高いと考えられています。

そこで、H鎖に特化して多様性を高めることで、親和性の高い抗体が含まれる可能性を向上しているそうです。

抗体スクリーニング法:ICOS法

さらに、作製した多様な抗体から有望な抗体をスクリーニングする技術についても強みを持ちます。

独自の抗体スクリーニング法の特長

生細胞と有機溶剤を使用して抗体スクリーニングすることで、高難易度の抗体を効率的に取得可能

この技術は他社がマネしにくい独自の方法だと思います!!

従来の抗体スクリーニングの課題として、以下の2点があり、研究者を困らせていました。

  • 抗原だけを精製すると立体構造を失い、抗体の結合力を適切に評価出来ない
  • しかし、抗原を精製しない場合 (生細胞に抗原を発現させる) は、非特異的な抗体が生細胞に多数付着してしまう

そこで、ペルセウスプロテオミクスは上記の課題を解決する方法としてICOS法を確立しました。

ICOS法は、特異性に欠ける抗体を有機溶剤を用いて分離する方法です。

具体的には、抗体と反応させた抗原発現生細胞が有機層に入る課程で、特異性に欠ける抗体は細胞表面から除去されるという原理です。

その結果、親和性が高く、立体構造を認識するユニークな抗体を取得出来るそうです。

開発品の現状

ペルセウスプロテオミクスの現状のパイプラインは以下です。

初期に開発入りしたPPMX-T002/004は富士フィルムから返還され、PPMX-T001は中外製薬との契約が終了する予定です。

つまり、PPMX-T003にかなり社運をかけている状態です。

上記以外に、最近COVID-19抗体について、富山大学が創製したUT28Kという中和抗体について共同で開発を進めることが発表されました。 (2022年4月)

PPMX-T003

PPMX-T003はトランスフェリン受容体に対する抗体です。

公知の概念

トランスフェリン受容体が「鉄を抱えたトランスフェリン」と結合することで、細胞内に鉄を取り込む
トランスフェリン受容体が高発現する細胞は、
① 赤血球産生細胞 (赤芽球)
② ガン細胞

鉄を遮断することで、ガン細胞や赤芽球の細胞死・増殖抑制を起こすことが可能

しかし、鉄の取り込み阻害を実現するトランスフェリン受容体抗体の作製は困難でした

PPMX-T003は、世界初「鉄取り込みの阻害を実現する抗体」です。

PPMX-T003は、ペルセウス独自の「ファージ抗体ライブラリ」と「ICOS法」を利用して取得された抗体で、従来の方法では得にくい機能阻害活性が高い独自の抗体です。

開発状況

現在、血液中の赤血球が異常に増える病気である「真性多血症 (PV) 」の患者を対象にPh1を進めています。

健常人への投与では、網状赤血球とヘマトクリック減少を確認しており、動物実験の結果をヒトで再現できています。

同社は、PPMX-T003のPV治療薬としての市場性を予測するために、ノバルティス社のジャカビを取り上げています。

ジャカビは、世界のPV領域で約1000億円超の売上を出すことから、PPMX-T003もそれに準ずる売上高が期待出来ることを主張しています。

また、今後は各種血液がんに対しても開発を進める計画です。
(非臨床では薬効を確認済み)

さらに、アグレッシブNK細胞白血病 (ANKL) という希少疾患に対する治療薬としての開発がAMED事業に採択されました。

今後は、医師主導治験を実施する計画です。

PPMX-T003にかなり期待していることが、IR資料構成や開発費の分配などからも予想されますね!

PPMX-T002/T004

PPMX-T002/T004は、多くのガン細胞に発現するタンパク質CDH3に対する抗体です。

PPMX-T002は、放射性同位体標識 (90Y) をした抗体医薬として、富士フイルムに導出しています。

Stage4 卵巣ガン患者を対象としたPh1において、PoCを取得していますが、富士フイルムが放射性医薬品事業をペプチドリームに譲渡したことで、ライセンスが同社に返還されています。

現在は、「より良い放射性同位体標識に変更すること」と、「新たなRI医薬開発パートナー探し」を進めているところです。

また、PPMX-T004として、同じ抗体のADC抗体についても基礎研究レベルですが、検討中です。

個人的な見解

PPMX-T003頼みで、失敗したらかなり厳しい

PPMX-T001の契約は終了で、PPMX-T002も開発は暫く進まないでしょう。

つまり、PPMX-T003にかなりウェイトが高くなっています。

確かにユニークな抗体で、PoCが獲得出来れば導出先も出てくる可能性はありますが、これで失敗したら開発品は全滅し、暫くは開発品は出てこないでしょう。

早急に次の前臨床開発品を創製する必要があると思いますね!

商用プラットフォーム化が可能なのか!?

PPMX-003自体は非常にユニークな良い抗体です。

この抗体をペルセウスプロテオミクス独自の抗体プラットフォームで取れたといういうことが、かなり大きな実績だと思います。

今後こういった機能阻害などの従来は取れなかったユニークな抗体を継続的に作れるなら商用プラットフォーム化も目指せるでしょう!

その場合は、「そーせいグループ」「ペプチドリーム」のように他社と技術的な協業体制を実現することで収益が安定することが期待出来ますね!

最後に

今回は、抗体創薬に特化したバイオベンチャーであるペルセウスプロテオミクスについて紹介してきました。

本記事で、「抗体医薬の基本的な技術」や「現状の課題」などについても学べたと思います。

抗体医薬は、従来のような単純なターゲットを狙う時代は終わり、高度な構造や複雑な機能を持つターゲットに焦点が当たっていくでしょう。

その中で、ペルセウスプロテオミクスがどうやって活躍して、生き残っていくのか楽しみですね!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!

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