こんにちは、ティーダです。
今回は久々の国内ベンチャー徹底解説ということで、「リボミック」の現状と将来性を徹底解説していきます。
同社は、核酸医薬であるアプタマーによる創薬プラットフォームを強みにしているバイオベンチャーです。
アプタマーってなんやねん?って方も多いと思います
近年、低分子と抗体で狙えるターゲットが枯渇してきたと言われることはご存じかと思います。
そこで、様々な企業が中分子創薬に注目しており、ペプチドリームや中外製薬を中心に活性化しています。
最近、「中分子」というと「人工環状中分子」を想像しますが、実はアプタマーも中分子医薬の一つです。
そして、人工環状中分子ではまだ承認されたものはないですが、アプタマーでは上市品があります。
今後、核酸医薬アプタマーに対して注目される将来があるかも知れません!
今のうちに勉強しておきましょう!
リボミックの成り立ちと沿革
同社は、東京大学教授であった中村義一先生のRNAアプタマーに関する研究を基盤に、2003年に設立されました。
大塚製薬、大正製薬、アステラス製薬、あすか製薬などと共同研究を締結した実績があります。
(現在、アステラス製薬は締結終了)
2014年に東証マザーズ (現グロース) に上場を果たしています。
- 平均年収は664.8万円 (平均年齢43.0歳、平均勤続年数6.8年)
従業員 26名 (2022年3⽉末) - 時価総額は60億円 (2022年7月時点)
ビジネスモデル
リボミックの基本事業は、「自社開発での候補薬のライセンスアウト」か、「製薬企業との共同研究によるライセンス収入」です。
しかし、近年は自社での臨床試験についても進めており、近年は「PoC獲得後にライセンスアウトする戦略」も画策しています。
近年の収益は、6000~9000万円程度で、黒字まではまだ遠い現状ですね。
リボミックの強み:RiboARTシステム
ここからは、「アプタマーの基本」と「リボミックの強み」について紹介していきます。
そもそも、アプタマー医薬ってなに?
アプタマーとは、
立体的な構造をもち、標的分子に結合可能な合成RNA/DNA分子です
現在、世界で唯一承認を受けているアプタマー医薬は、OSI Pharmaceutical社が加齢性黄斑変性症の治療薬として開発した「マクジェン」です。
これは、抗VEGFアプタマーをペグ化したもので、VEGFと拮抗することで薬効を発揮します。
独自のRiboARTシステム
リボミックは、独自のアプタマー探索プラットフォームに強みを持っています。
元々、アプタマー探索法にはSELEX法という特許化された手法がありました。
しかし、SELEX法の特許が2011年に切れたことで、各社が利用出来るようになっています。
リボミックの「RiboARTシステム」はSELEX法を起点に、さらに独自プロセスを活用してアプタマーを選抜するプラットフォームです。
結合特性測定や短鎖化、化学修飾などをすることで低分子のSARのようにアプタマーを高活性化/最適化していきます。
短鎖化とは、得られたアプタマー配列候補の活性を維持したまま短くするプロセスです。
この短鎖化プロセスでは、実験者が経験的に配列を短くしてその配列が活性を有しているかどうかの実験を行うことを繰り返し行う必要があり、多くの時間がかかります
おそらく、アプタマー特有の候補品への最適な分子数や化学修飾等が、自社内ノウハウとしてあるのでしょう!
次世代アプタマー創薬技術:AIによる進化
同社はさらに、自社のアプタマー探索プラットフォームについて、AIによる最適化を試みています。
例えば、早稲田大学との共同研究で、RaptGenという技術を開発しました。
RaptGenでは、SELEX法から得られる配列情報を活用し、「SELEXデータに含まれない新しい配列の生成」、「付加的な情報を考慮したアプタマー配列の最適化」、「SELEXデータから短鎖化配列のデザイン」が可能となりました。
これによって、アプタマーの短鎖化などのプロセスにかかる時間が短縮され、より困難なターゲットにも注力可能になると期待されます。
開発品の現状
ここからは、リボミックが開発している候補品の現状について紹介していきます。
以下が主なパイプラインです。
その中でも最注力品のRBM-007を紹介します。
RBM-007:FGF2阻害剤
RBM-007は、FGF2阻害剤です。
発生や組織のリモデリング、修復の役割を持つFGF2を阻害します。
滲出型加齢黄斑変性 (wet AMD)
この疾患の既存薬は、⾎管新⽣を阻害するVEGF阻害剤 (Lucentis®, Eylea®, Avastin®) が有名で、世界的にもかなり市場は大きいです。
しかし、患者の1/3は薬が奏効せず、効いた患者も、2年経過後薬効が低下し、視⼒が再悪化するというアンメットニーズが残っています。
そんなwet AMDに対して、RBM-007を新たな選択肢として開発を進めています。
そこで、既に4つの治験が実施され、安全性・有効性が検討されています。
以下にまとめます。
既存VEGF抗体を上回る薬効が出なかったことから、望んでいた結果ではありませんでした。
現在は製薬企業との提携に向け交渉中ですが、買い手は現れるのでしょうか??
マクジェンもVEGF抗体が出たため、売上高は最盛期の1/20以下まで落ちています。
最も使用されているVEGF抗体に対する薬効優位性を示せなかったこの結果は、かなり不利に働くでしょう!
軟骨無形成症 (ACH)
RBM-007は非臨床モデルにおいて、骨の成長を促進する結果を得ています。
(Sci Transl Med 掲載)
そこで、国内で健康成人男性に対して、用量漸増試験を実施しています。
今後はPh2a試験を国内で実施する計画です。
他の開発品については、非臨床では薬効は見えていますが、まだGMPロットも出来ておらず、臨床入りまではしばらくかかる様子です。
個人的な見解
なぜアプタマーが流行らないのか?
マクジェンが承認された2004年頃にはかなりアプタマーに注目が集まっていたそうです。
しかし、それ以降で様々な理由で承認品がなかなか出せず、マクジェンもVEGF抗体に置き換えられ、熱気が失われています。
それでも、リボミックを始め、海外ベンチャーも今も開発を続けている企業はあるので、今後の展開に期待です!
最も進んでいるのは、IVERIC Bio社のZimura®で、dry AMDに伴う地図状萎縮を対象としたPh3試験でPoCを獲得しています。
今後はプラットフォーム型企業となるのか?
今回はRBM-007の開発が望んだ結果が得られなかったことを考えると、今後のリボミックの戦略としては、技術提供をメインとしたプラットフォーム型企業になるのでしょうか?
その場合は、そーせいグループやペプチドリーム等といった国内トップベンチャーに肩を並べられる可能性もありそうですね。
しかし、アプタマーがもっと世界的に認められる必要もありそうです。。。
最後に
今回は、新たなモダリティ候補として考えられている核酸医薬アプタマーに特化したリボミックの現状と将来性について解説してきました。
少し珍しいモダリティであるアプタマーについて、簡単に理解出来たかと思います。
アプタマーに特化した企業は世界的にも少ないため、ブルーオーシャンであることは間違いないです。
あとは、世界的に上市品が出てくれば、モダリティとして価値が出てくると思いますね!
技術提携にしても、メガファーマ等と提携をしていくことで、バリューを上げていく必要があるかと思いました。
これからの展開に注目です!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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