こんにちは、ティーダです。
この記事では、第一三共の各期決算を簡単にまとめた内容を随時追加しています。
この記事によって、第一三共の動向を経時的に観察できます。
経時的に観察することで会社の将来も外挿出来るでしょう!
2022年12月期
- エンハーツとリクシアナを中心とした売上拡大、為替影響により増収増益
- 販売管理費は29.4%増、「3ADC」に対する投資などで研究開発費は43.0%増。その結果、コア営業利益は前年比3.8%減
- 代表取締役社長を、眞鍋淳氏から奥澤宏幸氏に交代
- エンハーツは堅調
- FY2022 予想 2004億円に上方修正! (前年比1350億円増)
- 2022年12月、HER2陽性胃がんの2次治療適応として欧州で承認取得
- HER2低発現乳がんの米国新規患者のシェアが40%台でトップ
- Dato-DXdのTROPION-Lung01の結果開示が2022年度Q4から2023年度Q1に変更
- DS-5670 (新型コロナmRNAワクチン) を2023年1月に国内承認申請
- DS-1211(弾性線維性仮性黄色腫) のPh2試験開始
最近R&D説明会もしていたので、開発品のアップデートは今回はなかったです。
3ADCにかなり大きく投資しているため、コア営業利益は減っているようですが、残りのADCが承認され、エンハーツがこれ以上に伸びれば余裕で回収出来るでしょう!
Dato-DXdの重要なTLRデータが少し後ろにずれたのは残念でしたね。
投資家質疑への返答
全体的にコストコントロールに関する質問が多かった
- エンハーツ売上予想増加の理由は、「米国・欧州市場の順調な拡大」と、「日本での処方実態に伴う予想の下方修正」が合わさった結果
- コストの増加について、為替の影響が大きい。また、4Qで赤字になることが過去あったので経費コントロールは頑張る
- DatoDxdのTROPION-Lung01の公表がズレた理由は、元々3月ギリギリだったことと、手続き上の理由で動いただけで、結果によるものではない
- 新型コロナワクチンについて、変異ウイルスに対して、配列情報から欧米企業と遜色ない速度で対応することが可能である
2022年9月期
- エンハーツを中心とした売上拡大、為替影響により増収増益
- 長期収載品を譲渡することで、新薬を軸とした収益構造へ変化
- 2022年8月 仲裁廷がSeagenの主張を全面的に否定する判断
- 本仲裁判断により、Seagenの主張は退けられ、ADC技術に関する知的財産権をこれまでどおり保持し、今後もADC製品の開発および商業化が可能
- エンハーツは堅調
- FY2022 予想 1952億円 (前年比1299億円増)
- 2022年8月、米国でHER2遺伝子変異NSCLC二次治療以降を対象とした承認取得
- Dato-DXdは新たな試験が開始
- TROPION-Lung02試験で有効性・安全性について良好な中間解析結果
- PD-L1 <50%の非扁平上皮NSCLC患者の新規Ph3試験 (TROPION-Lung07試験) を開始予定
- HER3-DXdも新たな試験が開始
- TKI治療後の EGFR遺伝子変異を有する転移性NSCLC患者を対象としたPh3試験を8月に開始
- DS-5670 (新型コロナmRNAワクチン)
- 2022年11月追加免疫試験において主要評価項目を達成!承認申請はFY2022中を予定
新型コロナワクチンDS-5670について、追加接種による有効性・安全性を評価したPh1/2/3試験で、既存ワクチンとの非劣性を示しました!
塩野義や田辺三菱と異なるのは、オミクロン株対応ワクチンなどにも素早く対応出来る点ですね!
臨床試験やり過ぎてADC以外の領域への基礎研究に回すお金がなさそうですね笑
まあ、今はADCにツッコむのが正しい!
2022年6月期
- 売上収益は増収したが、営業利益は減益
- アストラゼネカ社とのネキシウムの共同販促を終了したため、197億円の減収
- 為替による影響で174億円の減益
- エンハーツの売上は堅調な増加
- 米国にて、HER2低発現乳がんに対する申請が受理され、優先審査に指定。
2022年8月に承認取得!!2週間で承認!
- 米国にて、HER2低発現乳がんに対する申請が受理され、優先審査に指定。
- Dato-DXdは新たな試験が開始
- TROPION-Breast02試験 (TNBC 1L, Ph3 )を2022年6月に開始
- TROPION-PanTumor02試験 (NSCLC/TNBC, Ph1/2, 中国のみ) を2022年7月に開始
- DS-7300 (B7-H3-ADC)
- 進展型SCLCで至適用量設定のためのPh2を2022年6月に開始
- DS-5670
- 初回免疫:2022年度上半期に国内でのPh3試験を検討中
- 追加免疫:2022年5月にPart2を開始。2022年内に実用化を目指す
- DS-2325 (KLK5阻害剤) による、ネザートン症候群を対象としたPh1開始
HER2低発現乳がんに対するFDA承認を取得したので、今年度の決算にも多少影響があるでしょう
AZ社からは2億ドルの開発マイルストンを受領する予定です。
申請から承認まで尋常じゃないスピードですね!
世界初のHER2低発現に対する薬剤です。
それに伴い、HER2-lowを定義する診断薬の開発について急がれています。
2022年7月、Seagen社とのADC技術を巡る特許争いについて、Seagen社側の主張を認める判決が下されています。
https://www.daiichisankyo.co.jp/files/news/pressrelease/pdf/202207/20220720_J1.pdf
これのよって、第一三共側は何らかの損害賠償を被る可能性が高まってきました。
仲裁などの今後の動向にも注目です。
Fubukiさんによる解説記事が分かりやすいので、参考にしてください!
2022年3月期
- 売上高が初の1兆円台に乗った
- エンハーツ:
2022年度は売上高1284億円を予想 (対前期 +630億円)
HER2低発現乳がんに対して、FDAの画期的治療薬指定 (本剤5つ目の指定獲得)
HER2変異NSCLCに対する申請受理及び優先審査の指定 (US) - Dato-DXd:肺がんと乳がんで有効性確認、新たに4がん種を試験に追加
- HER3-DXd:HERTHENA-Lung02試験 (EGFR変異NSCLC 2L, Ph3) を2022年度上半期に開始予定
- DS-7300 (B7-H3-ADC) :Ph1で有効性シグナルを確認。小細胞肺がんに対するPh2試験を開始予定。
- DS-5670 (コロナmRNAワクチン) :
初回免疫投与は、2022年度上半期にPh3試験を開始計画
追加免疫投与は、2022年中の実用化を目指す
エンハーツとリクシアナの成長によって、売上高は堅調です。
また、3ADCと他のADCについても臨床試験の進捗は順調です。
懸念としては、米国でシージェン社との特許訴訟が継続していますが、社長は事業への影響はないとコメントしていました。
コロナワクチンはまだ少し時間がかかりそうですね。
LNP-mRNAの技術に関する具体的な言及がなかったのが少し気になりますが、次のR&D説明会などでまた話はあるでしょう!
2021年12月期
- 営業利益が37.6%の大幅増益!エンハーツ売上高増加 (約2倍に成長) とその他製品の順調な成長に起因
- USでの長期収載品を外部へ委譲して、新薬を軸とした収益構造への変換
- Dato-DXdについては、2021年11月にTNBC対象Ph3試験を開始
- HER3-DXdはFDAより画期的治療薬の指定を受けた
- DS-5670 (コロナワクチン) はブースター投与のPh3試験を2022年度上期に開始計画
- DS-7011 (抗TLR7抗体) はまもなくPh1試験開始
3ADCについては非常に順調に進んでいる印象です。
ADC以外の進捗が大きな動きがないのが少し心配ですね。。。
コロナワクチンについては、既存mRNAワクチンとの副作用の強弱などで戦略は変わってきそうです。
しかし、Ph1もまだ終わっていない段階では承認まではかなり遠いでしょう。
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