こんにちは、ティーダです。
近年、「アプリ」や「ゲーム」といった従来の医薬品以外の手段で病気を治療・予防する取り組みが注目されています。
いわゆる、「デジタルメディスン」とか「治療用アプリ」とか言われる分野です。
2022年9月、CureApp社の高血圧を治療する治療用アプリの販売開始が報道されていますね!
3桁億円の売上が期待される非常に注目の取り組みです!
しかし、実際開発に携わっている方以外は実態をよく理解していない方が多いのではないでしょうか?
私自身も自社でそういった取り組みをしていることは知っていますが、いまいち理解は進んでいません。
個人的には、どれだけお金になるのか?が気になるところです。。。
そこで、今回は「デジタルメディスンの開発の現状と将来性」というテーマで解説します。
また、内資製薬の取り組みについても紹介します。
参考にしたのは、医薬産業政策研究所の研究データです。
デジタルメディスン開発の潮流と製薬産業の関わり
-臨床試験・提携の動向を踏まえて-
https://www.jpma.or.jp/opir/news/064/64_7.pdf
今回の記事によって、今後製薬業界の一つの大きな潮流になる「デジタルメディスン」を理解するきっかけにしてください!
デジタルヘルスの定義
そもそもデジタルヘルスケアの中には大きく3つの定義があります。
- デジタルヘルス
- デジタルメディスン
- デジタルセラピューティクス
Appleストアにも健康管理アプリとか溢れてるけど、治療アプリと何が違うんだろう?
以下の図が、各定義を説明したものです。
「臨床的エビデンスの壁」によって大きく2分されていますね。
今回は、臨床試験を実施して、治療介入を行うデジタルセラピューティクスの領域の開発品についてデータを紹介します。
また、医薬品との比較をするとデジタル製品の利点も見えてきますね!
開発費が安価で、期間が短く、特許切れによるクリフの可能性も低い!
各ツールにおける臨床試験の現状
ここでは、デジタルメディスンの中で最も活用が進む「モバイルアプリ」、「ゲーム」、「VR/AR」に分けて臨床試験を調査したデータを紹介します。
モバイルアプリ
臨床試験の総件数は年々増加しており、2018年以降、毎年100件以上の臨床試験が登録されています。
対象疾患領域としては、「精神及び行動の障害」に対する試験が最多であり、「内分泌、栄養及び代謝」、「循環器系」が次にきます。
特に、うつ病、依存症など、認知行動療法との親和性が高い「精神及び行動の障害」においては、臨床試験数が年々増加しています。
ゲーム
2010年代中盤から後半にかけて臨床試験の登録件数に増加傾向がありましたが、2019~2020年は鈍化しています。
対象疾患としては、モバイルアプリ同様、うつ病のような「精神及び行動の障害」に対する試験が最多であり、次いで「内分泌、栄養及び代謝」、「循環器系」でした。
加えて、ゲームによる運動促進を目的に、「筋骨格系及び結合組織」関連疾患への利用も多く見られました。
運動支援ゲームってどういう世代の人がやるんだろう?
ただし、いずれの疾患でも、近年の臨床試験数の伸びは鈍化しています。
VR/AR
VR/ARでは、臨床試験数は年々増加しており、2018年以降、各年100件以上が登録されています。
「精神及び行動の障害」に対する試験が最多であり、不安の緩和や心的外傷後ストレス障害の治療などが多いようです。
VR/AR では没入感の高さを活かし、心的外傷後ストレス障害のような「強いトラウマ」に対する不安軽減への検討もあるようです。
各疾患領域の年次推移を見ても、「精神及び行動の障害」の臨床試験数の増加が特に顕著でした。
また、VR/AR の没入感を活かした疼痛緩和が期待されており、疾患や医療処置などに起因する急性・慢性疼痛の軽減を検証した試験が多いようです。
精神疾患系がどのモダリティでも最多を占めてますね!特にVR/ARは没入感がキーワード
内資製薬のデジタルセラピューティクスへの取り組み
以下に、主な国内でのデジタルセラピューティクスのプロジェクトを挙げています。
内資製薬で特に目立っているのは以下の3社ですね。
- 塩野義製薬
- アステラス製薬
- 住友ファーマ
また、田辺三菱やエーザイも力を入れているようですね。
大手製薬以外では、CureApp社が最もデジタルセラピューティクス領域では国内トップランナーであることが分かります。
CureApp社はCB Insights社が2020年に選出した世界の有望なデジタルヘルススタートアップ150社のうちで、日本企業から唯一選出された企業です。
個人的な見解
内資企業でのデジタルメディスン発展の課題
デジタルセラピューティクス領域は、2028年には世界で2兆8000億円の市場規模になるという調査結果もあります。
しかし、内資企業ではまだ海外勢に比べて開発が遅れている現状です。
その原因としては以下の3点が考えられます。
- 臨床試験及びデジタル技術関連の提携の立ち上がりの遅さ
- 内資製薬によるデジタム関連企業との提携がまだ少ない
- グローバル提携の少なさ
- 世界を牽引している米国との提携が少ない
- グローバルも含めた「技術視点」での連携を視野に入れることが重要
- 事業投資やスタートアップ支援の少なさ
- スタートアップの2017年資金調達額では、米国が約5800億円に対し、日本は約327億円と18倍の差がある
今後、本格的に内資企業がどう取り組んでいくのかに注目です!
こんな「海外に遅れを取る日本」って現象は、どのモダリティでも起こってるよね笑
最後に
今回は、デジタルメディスンについて、開発の現状と将来性、内資企業の取り組みについて紹介してきました。
今まで余り馴染みのない方でも基本的な情報は理解出来たのではないでしょうか?
個人的もモダリティの定義や対象疾患、内資の取り組みが学べて勉強になりました。
今後、デジタルセラピューティクスのニュースも増えてくると思うので、是非その際にこちらの記事を思い出してください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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