【ADC技術の二大巨頭の一角】Seagen社のADC技術を徹底解説&第一三共との比較

バイオベンチャー分析

こんにちは、ティーダです。

皆さん、「Seagen」って製薬企業を聞いたことあります?

世界的なADC技術プラットフォームを所有する米国の製薬企業です。

最近では、第一三共とのADC技術の特許侵害問題や、アステラス製薬との協業で良く聞きますよね。

しかし、素晴らしいADC技術を持つことは知っていても「具体的な技術内容・強み」や、「第一三共との違い」などを理解している方は少ないと思います。

そこで今回は、Seagenの技術プラットフォームと現状、将来性について徹底解説していきます!

この記事を通じて、ADC技術の世界トレンドや、第一三共との違いについて理解してください!

今回は、上市品や開発品の現状よりも、ADC技術プラットフォーム紹介に重点を置きます!

ADC技術の基礎知識は以下になります!

ADC技術の基本知識

基本コンセプトは、
強力な抗がん剤を腫瘍特異的抗体を用いて送達し、腫瘍細胞を殺す薬剤です。

ADC技術は主に4つの要素で構成されていると言われます。

  • 特定のガン関連抗原に結合するモノクローナル抗体
  • 化学療法薬のようなペイロードとしての抗癌剤
  • ガン細胞内でペイロードを切断する「リンカー」
  • リンカーとペイロードを抗体に結合させる技術

現在は10種類以上のADC製品が上市されていますが、過去には抗体-化合物の結合安定性不足による毒性懸念によって開発が中止されることも多かったです。

さらに、ADC製品は製造の特殊さから、バイオシミラーの参入が困難ため、クリフが起こりにくいことも想定されます。



Seagenの沿革と決算概要

Seagenは、1998年にシアトルによって設立され、シアトル近郊に本社があります。
(創業当初はSeattle Geneticsという名前)

設立当初からADC技術の研究をしており、2006年に当社初のADC製品「ADCETRIS」の臨床試験を開始しました。

その後、2022年までに世界中のメガファーマと協業をしています。
(アステラス製薬、武田薬品も含む)

近年の決算概要はおおよそ以下です。

製品売上はかなりあるのですが、研究開発費に大きく投資しており、営業利益は赤字です。

日本のバイベンチャーではあまり見ない形ですよね!

それでも時価総額は3兆円を超えているので、現在のアステラス製薬の時価総額よりも大きいです。

世界最高のADC技術:Vedotin ADC技術

SeagenのADC技術の概要

Seagenが所有するADC技術のプラットフォームは、MMAEという独自ペイロードと独自リンカーを組み合わせたADC技術です。

MMAEとは?

Seagenが創製したチューブリン重合阻害剤の一種。
単剤では毒性が高く、使用出来ず、抗体と複合することで使用される。複合体の名前がvedotin。

抗体結合体が腫瘍細胞内に入ると、腫瘍細胞内で高発現しているカテプシンによる速やかなリンカー切断が起こり、自己切断部位であるpABC基により、リンカー残基を含まない薬剤が腫瘍内に放出されます。

第一三共のADC技術との比較と強み

以下に、Seagenと第一三共の比較と私が考える両社の強みを載せています。

第一三共の技術は素晴らしく、おそらくDxdも薬剤活性としてはMMAEよりも強力です。

1つの抗体に対する搭載ペイロード数の多さ、均一性などは他社よりも優れた点でしょう。

ただ、第一三共のプラットフォームでは、間質性肺疾患 (ILD) という重篤な副作用と関連があることが報告されており、第一三共ADCの初期患者への使用を制限する懸念があると言われています。

一方で、Seagenは既に上市品や協業品も複数あることから実績が強みです

また、Seagenはかなりユニークなターゲットを選抜し、抗体自体に細胞内移行促進の改変を加えるなど、プラットフォームとして成熟している印象です。

正直、どちらも素晴らしい技術なので、なかなか明確な優位性は見出せませんね!

Seagenの次世代ADC技術

Seagenでは、従来ADC技術をさらに強化するために次世代ADC技術の開発も進めています。

次世代ADC技術での改良点
  • ペイロードの搭載数を8個/1抗体 (従来は4個/1抗体)
  • リンカーの安定性を強化 (PEGylated glucuronide linker)
  • 細胞内での薬物放出・滞留性の向上

上記技術改良によって、Xenograftモデルで従来型に比べて高い薬効を示しています。

実際に、開発品でも使用され始めています。

第一三共との差を縮めるような技術改良の印象です。

上市品・開発品の現状

上市品

Seagenの上市済製品は以下の4つになります

これ以外に、HER2阻害剤「TUKYSA」が3.3億ドル/年で売り上げています。

TIVDAKは2021年に上市された新製品なので、まだ売上高が伸びてないです。

開発品の現状

以下がSeagenのADC関連開発品になります。

SeagenはADC以外に、もう一つの抗体プラットフォームを所有しています。

それは、「Sugar-Engineered Antibody (SEA) Technology」です。

簡単言うと、抗体を脱フコシル化することで、ADCC活性やアゴニスト活性を増加する技術です。(協和キリンが昔所有していた技術と似ています!)

この技術を用いた開発品も4つほど治験に入っています。

上記開発品の中で、個人的に興味深いモノだけを簡単に紹介していきます!

Ladiratuzumab Vedotin

抗LIV-1 ADCで、メルクと開発提携を結んでいます。

この薬剤は単独治療薬として進めるだけでなく、「ADCのガン殺傷効果によって、免疫細胞を腫瘍内に引き寄せ、キイトルーダの効果を高める」という仮説に基づいて、キイトルーダとの併用試験を行っています。

Disitamab Vedotin

こちらは中国のRemeGenが開発した製品で、独占ライセンス契約を締結しました。

使用しているHER2抗体はRemeGenが創製した新規HER2抗体で、特異性や細胞内移行性がハーセプチン (エンハーツで使用) よりも高いことを強みにしています。

エンハーツはもちろんのこと、他社のHER2-ADCとの差別化は出来るのでしょうか?
気になりますね!

SGN-CD228A

こちらのCD228-ADCには、上で紹介した次世代ADC技術が使用されています。

この開発品が上手く承認されれば、今後のSeagenのADC技術は次世代型に切り替わっていくでしょう!

同社にとっては将来的に非常に重要になる開発品です!

個人的な見解

第一三共との特許問題は重要!

2022年現在、Seagenは第一三共のADC技術に対して、特許侵害で提訴しています。

Seagenは、第一三共のADC技術のリンカーおよびその他の技術はSeagen技術の改良であり、2008年から2015年までの両社の共同研究から生まれたものであるため、その所有権はSeagenにあると主張しています。

そして、金銭的損害賠償と製品売上ロイヤリティなどを求めています。

第一三共側としては、Seagenの言い分に疑問を持っていることと、第一三共は特許侵害していないことを主張しています。

これは第一三共の根幹の技術を揺るがす案件で、今後の展開は非常に重要になりますね。

もし、Seagenの主張が通った場合は、第一三共はかなりの額のロイヤルティを継続的に払っていく必要があるかも知れません。

やはりプラットフォーマーは強い!

調査していて思ったのは、ADC技術という一つの独自プラットフォームを持つだけで、開発品はポンポン出るし、技術提携費は入るし、時価総額も高いし、で素晴らしいですね!

しかし、ADC技術も日進月歩で、新たなコンセプトやモダリティとの融合が次々出てきます。

2021年のADC AwardではADC技術とPROTACを組み合わせた薬剤とか紹介されていました。。凄い。。

世界一のプラットフォーマーになってからも技術改良は一生終わらないんだな〜と思いました。

創薬における、プラットフォームの重要性を書いた記事も参考にしてください!

最後に

今回は、ADC技術の世界的プラットフォーマーSeagen社を紹介すると共に「ADC技術全般」「第一三共との違い」について解説しました。

この記事を通じて、最新のADC技術事情を知れたと思います。

今後もADC製品は世界的に注目度が高いので、一緒に勉強していきましょう!

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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