【低分子はオワコン?】創薬モダリティの最新トレンド変化を徹底解説

製薬企業分析

こんにちは、ティーダです。

近年、創薬モダリティが多様化していることはご存じかと思います。

しかし、各モダリティで承認薬が毎年いくつあるかって知っていますか?

遺伝子治療とか細胞療法とかって年間どれだけ承認されてるの?

開発品は多いけど、実際に承認される数は少ないんじゃない?

モダリティ別の承認薬の数や割合は、創薬モダリティ変遷を理解する重要な指標ですよね!

前回は、「モダリティごとの創薬の成功確率」についての記事を書きました。

そこで、今回は「モダリティ別の承認数と占有率の年次推移」を解析したデータを紹介します。

参考にしたのは医薬産業政策研究所の研究データです。

新薬における創薬モダリティのトレンド
-多様化/高分子化の流れと、進化する低分子医薬-
https://www.jpma.or.jp/opir/news/064/06.html

今回のデータと前回の記事を読んで、製薬業界全体に訪れている「創薬モダリティの変遷」について考察を深めてください!



承認薬におけるモダリティの変化

FDAにおけるモダリティ別承認薬

まずは、米国FDAで承認されている薬について、モダリティ別の推移を見ていきましょう。

2000年以降では、どの年でも低分子医薬が最大を占めるモダリティで、約60%前後で推移していることから、依然として中心的なモダリティであることが確認出来ます。

抗体医薬や核酸医薬も増えてはいるけど、まだまだ低分子が中心なんですね!

低分子医薬の次のモダリティとしては、2000~2013年頃は組換えタンパクでした。

しかし、その後徐々に抗体医薬が増加し、2015年からは抗体医薬が低分子の次に割合の大きなモダリティへと成長しています。

核酸医薬、遺伝子治療、遺伝子細胞治療などの新規モダリティの承認数は増加傾向ですが、まだ年間1~2品目が承認される程度で、まだまだこれから成長余地のあるモダリティになります。

医薬産業政策研究所 新薬における創薬モダリティのトレンドを参考に作成
医薬産業政策研究所 新薬における創薬モダリティのトレンドを参考に作成

PMDAにおけるモダリティ別承認薬

次は、日本PMDAで承認されている薬において、モダリティ別の推移を見ていきましょう。

日本でも低分子は最も大きな割合のモダリティですが、特に2000年~2012年頃までは低分子医薬の比率が米国より高く、約70%前後を推移していました。

この要因としては、組換えタンパクの承認件数が少ないことが考えられ、この当時バイオ医薬品における日米ドラッグラグが存在していたことが見て取れます。

直近5年間は、モダリティ占有率については日米間で大きな差は無いように見えますね。

ここから再度ドラッグラグが拡大していく可能性が高いですけど。。。

医薬産業政策研究所 新薬における創薬モダリティのトレンドを参考に作成
医薬産業政策研究所 新薬における創薬モダリティのトレンドを参考に作成

同一作用メカニズムを狙う複数のモダリティ

上の結果でも分かるとおり、以前は低分子医薬が中心的なモダリティでしたが、そこから組換えタンパクや抗体医薬など新規モダリティが進みました。

その理由は、低分子医薬ではアプローチ困難なターゲット」に対して新規モダリティでアプローチ出来るためと考えられます。(以下図)

医薬産業政策研究所 新薬における創薬モダリティのトレンドを参考に作成

しかし、それぞれのモダリティで一長一短あるため、抗体で狙っていたターゲットを逆に低分子で狙うようなアプローチも最近は見られます。

そこで、同一作用メカを複数モダリティで狙っている事例について紹介し、モダリティ間での強み弱みの違いについて理解を深めていきます。

CGRP阻害剤 (片頭痛治療) での事例

CGRP阻害剤は片頭痛治療薬として開発が進んでいる薬剤です。

抗体医薬では、4つの新規CGRP阻害剤があり、これらは「CGRP自体を中和してシグナルを抑制するもの」「CGRPレセプターに結合してシグナルを抑制するもの」があります。

また、同様メカニズムを有する低分子医薬が、臨床段階以降に計5品目存在しています。

CGRP阻害剤のモダリティ間の特徴
  • 低分子医薬の特徴
    経口投与、頓服、一部では予防も可能
  • 抗体医薬の特徴
    皮下 or 静注投与、予防、長い投与間隔

同じモダリティ内では、似た特徴を持つ一方で、抗体医薬と低分子医薬という異なるモダリティ間では大きく特徴が異なる薬剤となっています。

このように、「適応症状」「患者ニーズ」に合わせて、モダリティを変化させることは今後も重要な戦略になっていくでしょう!

SMA (脊髄性筋萎縮症) 治療薬での事例

脊髄性筋萎縮症 (SMA) は、SMNタンパク質の欠乏・欠失によって生じる、遺伝性の神経筋疾患です。

近年、本疾患を適応とした新規医薬品が3剤上市されています。

この3剤の作用機序は、モダリティは異なりますが、SMNタンパク質の機能を補充するという点で共通しています。

SMA治療薬のモダリティ間の特徴
  • スピンラザ (核酸医薬)
    SMN2遺伝子の発現を増強させ、SMNタンパク質の機能を補充
  • ゾルゲンスマ (遺伝子治療)
    AAVベクターにSMN1遺伝子を搭載しており、SMNタンパク質の機能を補充
  • エブリスディ (低分子医薬)
    SMN2スプライシング修飾により、SMNタンパク質を増加

この3剤はモダリティごとに「用法用量」「薬剤費」などでそれぞれに特徴があります。

これら薬剤間では、併用や切り替え効果を検証する試験も進行しており、難治性疾患に対して治療選択肢が増えることは非常に喜ばしいことですね。

紹介された2例は、複数モダリティで狙う重要性を具体的に示す良い例ですね!

個人的見解

モダリティを変えるのはよくあるけど大事な戦略

個人的にモダリティ転換で直ぐに思いついたのは、PD-1抗体を低分子や環状ペプチド、mRNA医薬で開発している戦略ですね。

他にもJCRファーマがやっているJ-Brain Cargo技術は、遺伝子治療によるタンパク質の強制発現と同じメカニズムで同様の疾患を治療しています。

アステラスとJCRファーマは、ポンペ病で被ってますからね!

「臨床実績があるメカニズムを自社の得意なモダリティに変換して創薬する」っていう戦略は改めて考えていく必要があると感じましたね。

低分子はまだオワコンじゃない!

やっぱり。バイオ医薬で画期的な薬やブロックバスターが続出していると「低分子ってオワコンじゃね?」と思うときもありますよね。

でも、近年は低分子医薬でも、PROTACやRNA創薬等の新たな低分子技術や、他モダリティとの融合 (ADC, PDC) が活発になっています。

内資企業は低分子に強みを持つ企業が多いので、新たなモダリティ時代に既存技術を応用してついて行けたらな〜と思いました。

内資製薬の素晴らしい創薬技術力については以下の記事で紹介した本がオススメです!

最後に

今回は、「創薬モダリティごとの承認薬の数と割合の変遷」を紹介しました。

個人的には、早期開発品の情報や、海外ベンチャーの情報を日々追っていると、新規モダリティが凄く隆盛しているように感じていました。

しかし、まだまだ承認薬の中では低分子が最も割合が高く、抗体でも低分子の半分程度の割合だという事実に気付かされました。

また、同一メカを複数モダリティで狙うことで、アンメットニーズを拡充していくという戦略についても具体例を元に再認識出来たため、非常に学びがあったと思います。

今後、内資製薬もこのモダリティ変遷についていけることを期待しましょう!

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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