【バイオベンチャーの到達点!?】GNIグループの強みと将来性を徹底解説

バイオベンチャー分析

こんにちは、ティーダです。

今回は、バイオベンチャーのある種の到達点にいる「GNIグループ」の現状と将来性について徹底解説します。

同社は、線維化に特化した治療薬を研究開発するバイオベンチャーで、ベンチャーとしては珍しくワールドワイドにビジネスを展開しています。

既に製薬企業と言っても過言ではありません。

GNIグループについて知ることで、バイオベンチャーとしての一つの到着点を一緒に学びましょう!

参考にしたのは、GNIグループのIR資料です。



GNIグループの成り立ちと沿革

GNIグループは、米国法人Gene Networks, Inc.の日本法人として2001年に創業しました。

その後、2007年に東京証券取引所マザーズに上場し、2014年にピルフェニドン (中国名アイスーリュイ) を中国で上市することで収益を伸ばしてきました。

本社は東京ですが、研究所は中国とアメリカに所有しています。

  • 平均年収は905万円 (平均年齢50.3歳、平均勤続年数6.4年) 
  • 時価総額は591億円 (2022年5月時点) で、製薬ベンチャーとしてはペプチドリームとそーせいグループに続く国内第3位です。

創薬戦略とビジネスモデル

GNIグループは主に2つの事業から利益を得ています。

  1. 医薬品事業 (BC社、Cullgen社)
  2. 医療機器事業 (BAB社)

医薬品事業

医薬品事業では、以下に示すように中国を拠点にしたユニークな創薬戦略をとっています。

特徴的な創薬戦略
  • 中国を拠点に新薬探索・臨床開発から製造、販売まで一貫した事業活動を行う
  • 中国でのコスト優位性を生かし、より早期に新薬の承認を取得し中国市場にて販売
  • 中国から他地域に新薬販売を広げ、ライセンス・イン/アウト、共同開発契約を通じて世界でさらに事業を展開

国内バイオベンチャーで、ここまで承認から販売まで考えて戦略を立てている企業は他にないでしょう。

医療機器 (生体材料)

この事業では、外科手術で用いる人工骨をアメリカで販売しています。

近年は、コロナによって外科手術件数が低下していたため負の影響を受けていました。

しかし、2022年Q1では手術数は増加し、復調が見えてきています。
(前年同期比23%の利益改善)

GNIグループの強み:線維化研究とPROTACプラットフォーム

強み①:線維化研究に関する長年の実績

GNIグループでは、収益の柱となっているビルフェニドンを起点に、抗線維化薬について長年研究しています。

現在は、主に肺、肝臓、腎臓の線維化に注力して研究を進めています。

線維化とは?

慢性炎症反応によって、組織中の結合組織が異常増殖し、臓器が機能不全になる疾患の総称です。
肝硬変、腎不全、心筋梗塞などの複数の疾患で観察されています。

具体的に線維化研究に強みを持つのは、北京コンチネント薬業有限公司 (BC) という中国のグループ会社です。

北京コンチネント薬業有限公司 (BC) の強みと特徴
  • 慢性B型肝炎誘発性肝線維症のパイオニア
  • 臓器線維化と炎症について、高い専門知識を持つ研究員
  • 線維化に関して、新薬候補物の探索から化合物探索、臨床試験、製造・販売と、バリューチェーンを一貫してカバー
  • 中国全土の販売・流通網を通じて、中国市場における線維化疾患のリーダーとしての地位を確立済み

実際に自社初の開発品を何点か創出しており、現在臨床開発が進んでいます。
(以下で紹介します)

個人的には、目に見える「線維化研究の強み」が見えてこないことに少し不安がありますね。

技術や研究力に強みがあるならば他社との協業なども進みそうですけど、あまりそういう話もないですし。。。

強み②:標的タンパク質分解プラットフォーム (PROTAC技術)

線維化研究だけでなく、新たな領域への創薬プラットフォームを確立するためにガン領域へ拡大を決めました。

その一手として、アメリカにCullgen社を設立しました。(2018年)

Cullgen社は、最先端の標的タンパク質分解誘導技術 (PROTAC技術) を活用した創薬事業を担う企業です。

標的タンパク質分解誘導技術 (PROTAC) とは?

化合物を利用して、細胞内の分解機構によって標的タンパク質を選択的に分解する技術

研究のコア技術:uSMITE™

uSMITE™は、Cullgen社が確立した独自PROTACプラットフォームです。

残念ながら、uSMITE™に関する詳細な技術説明は見つけられませんでした。

しかし、Cullgen社のインタビューから以下の強みが見て取れました。

uSMITE™の強み
  • 従来型のE3リガンド以外に、新規E3リガンドの開発を実施して、既に複数同定している
  • 異なる化学的・物理的特性を持つリンカーライブラリーを構築し、効率的な薬剤の最適化を可能にしている

現在、Tropomyosin Receptor Kinase (TRK) を分解するPROTAC (開発番号:CCG001419) について注力しており、この開発品が近日中に臨床入りすることが推察されます。

2021年に、Cullgen社は世界的なベンチャーキャピタルから、約63億円の資金調達を達成しています。

このことからもuSMITE™の価値が世界的に評価されていることが分かりますね!!

PROTACについては以下の当ブログの記事や書籍でも紹介されています。
是非勉強してみてください!トレンド技術です!

開発品の現状

以下が2022年5月現時点でのGNIグループのパイプラインになります。

上記から興味深いものをいくつか紹介します。

ピルフェニドン (特発性肺線維症治療薬)

ピルフェニドン自体は古くに開発された化合物で、物質特許は失効しています。

しかし、2000年代頃からピルフェニドンがIPF治療に活用できることが明らかになってきました。

そこで、ピルフェニドンを用いたIPF治療薬の開発が様々な国で行われました。

  • 日本:塩野義製薬
  • アメリカ:InterMune社(2014年にロシュが買収)
  • 中国:GNIグループ

各社がピルフェニドンを用いたIPF治療に関する用途特許を保有し、各国で販売しています。

現在は更なる適応拡大に向けて、GNIグループは4つの疾患に対して中国で開発を進めています。

F351

F351 (ヒドロニドン) はアイスーリュイの誘導体である新規化合物です。

肝星細胞の増殖と線維化に重要なTGF-β伝達経路の両方の阻害剤になります。

Ph2試験において、B型肝炎ウィルス由来の肝線維症患者に対する治療薬として、PoCを獲得しています。

Ph2試験の結果を受けて、中国当局から画期的治療薬として指定されています。

そして、B型肝炎ウイルスに起因する肝線維症のPh3試験を2022年1月に開始しています。

さらに、アメリカでの肝線維症 (NASH) に向けたPh2試験のIND事前協議をFDAと実施しています。

もし、アメリカでNASHによる線維化に対する市場を取れたら非常に大きいですね!!

F230

エーザイから導入した肺動脈性肺高血圧症 (PAH) に対する治療薬で、エンドセリンA受容体選択的拮抗薬になります。

肺動脈性肺高血圧症自体は、線維化との関連も報告されており、標的疾患としては一貫していますね。

中国で肺動脈性高血圧症治療薬として開発・販売する権利に加え、将来的に腎疾患治療薬として開発・販売するオプション権を獲得しています。

2023年Q3に治験届 (IND) を計画しています。

個人的な見解

ピルフェニドンの中国市場シェアは維持できるのか!?

ベーリンガーインゲルハイム社のオフェブが中国のIPF治療薬市場に2017年に参入してきました。

これまでは中国のIPF治療薬市場を独占してきたGNIですが、アイスーリュイの副作用を避けたい患者がオフェブに切り替えることで、アイスーリュイの中国での独占的立場が脅かされることが予想されます。

ちなみに、オフェブはIPF治療薬として世界一の売上高を誇り、2021年には約3200億円売り上げた凄まじい薬です。

さらに、オフェブは2019年にアメリカと日本において「全身性硬化症に伴う間質性肺疾患」に対する治療薬として承認を既に獲得しています。

中国でもオフェブの同疾患の追加適応を承認することでしょう。

その場合、同じ疾患に対して適応拡大を進めているアイスーリュイよりも先に、オフェブは承認を得ることになり、GNIにとっては大きな障害になります!!

ベーリンガーインゲルハイム社は全く異なるメカニズムの開発品BI 1015550 (PDE4B阻害剤) についても、FDAからの画期的治療薬指定を獲得しています。(2022年2月)

世界トップレベルの線維化治療カンパニーとして、今後もGNIの競合相手になるでしょう。

PROTACから始めるのは面白い!

GNIグループも線維化研究の一本足打法では将来的に厳しいと考えているようです。

そこで、比較的参入障壁の低い新技術PROTACに参入しました。

確かにまだPROTACとしての承認薬は世界になく、2022年5月時点でPh3に入っている開発品もありません。

まだ技術として信頼できるか判明していませんが、今からでも十分参入可能な画期的な技術だと思います。

ベンチャーらしいですね!!実際にVCから63億円を獲得しているのも凄い!!

創薬ベンチャーとしては理想的な成長では?

個人的に面白いと思ったのは、この会社は既にバイオベンチャーの枠を超えた事業展開を果たしている点です。

起点としてはピルフェニドンの売上高や医療機器販売ですが、医薬品の製造・販売は自社で行い、新薬研究開発はもちろん行い、プラットフォーム構築研究も同時に進めています。

これは他のベンチャーでは見られないレベルで事業として完結していますよね!!

おそらく他ベンチャーも最終的にはこういった形を目指して経営しているのではないでしょうか?

これからさらにどう成長して行くのかが楽しみですね!

日本初バイオベンチャーからの大手製薬企業への成長が見れるかも知れません!
(ギリアドやジェネンテックのような)

最後に

今回は、バイオベンチャーとして一つの到達点にいる「GNIグループ」について解説してきました。

今まで紹介してきたバイオベンチャーのどことも違って勉強していて楽しかったです。

今後どんな形で成長していくのかが非常に楽しみですね!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!!

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