こんにちは、ティーダです。
この記事では、住友ファーマの各期決算を簡単にまとめた内容を随時追加しています。
この記事によって、住友ファーマの動向を経時的に観察できます。
経時的に観察することで会社の将来も外挿出来るでしょう!
2022年12月期
- 為替の影響や、スミトバント社製品の伸長により売上高は増収
- オルゴビクスは193.8%増、ジェムテサは303.6%増したことが貢献
- 営業利益は、為替影響による販売費、一般管理費や研究開発費の増加が大きく、さらに赤字に転落
- 通期業績予想は、売上高は為替見直しや、米国のラツーダ売上減から下方修正。営業利益は、販管費が為替影響で減少することや、事業の譲渡益250億円を入れて上方修正。
- ulotrantについて、全般性不安障害患者へのPh3試験開始
- ラツーダの双極Ⅰ型障害うつ患者への中国での開発を中止
- DSP-0509(TLR7アゴニスト)、DSP-7888 (がんワクチン) の開発中⽌
住友ファーマフード&ケミカルや住友ファーマアニマルヘルスの売却という流れで事業を整理している流れが見られます。
近くに発表される新中計でどういった戦略でラツーダクリフを乗り越えるのかが楽しみです。
開発品に関してはがん関連の2つの開発品が中止になったことから、2023~2027年度に上市する計画だった製品群が脱落していっています。
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/ir/news/pdf/ir20230131.pdf
投資家質疑への返答
最近の事業整理に関する話や、マイオバント社の完全子会社化に関する質問が多かったですね。
- ulotarontの統合失調症につきましては、2023年度のどこかでデータ開示し、2024年度上市を目指している
- 中期的には、黒字に向けて資産売却も考えている
- ラツーダ事業に関わる人数を減らして、販管費を抑えようと考えている
- マイフェンブリー、ジェムテサ、オルゴビクスを中心に、これからの収益を作っていく点は変わらない。2024年度には、オルゴビクスとマイフェンブリーを足して1000億円を出したい。
2023年度からは新中計が始まるため、大きな変革に期待ですね。
2022年9月期
- 為替の影響やラツーダの堅調な成長で前年同期比増収したものの、パーキンソン病治療薬・キンビモによる減損544億円によって大幅の赤字転落 (-289億円)
- キンビモは、シナプサス社を約659億円で買収して獲得した製品。収益予測を⾒直した結果、減損損失として約544億円を計上
- 通期の営業利益も300億円の赤字に修正
- 連結⼦会社マイオバント社の完全⼦会社化に合意
- ulotaront (⼤うつ病補助療法) のPh3開始、DSP-0378 (ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群) のPh1開始
- DSP-6745、DSP-7888、TP-0903は開発中止
3ヶ月後 (2022年2月) にラツーダ特許が切れることから、来期も赤字の可能性が非常に高いらしいです。
キンビモについては、新型コロナ影響で上市環境が整わなかったことを理由にしています。
しかし、現在の注力3製品 (オルゴビクス、マイフェンブリー、ジェムテサ) についても市場への浸透がコロナ影響で上手くいっていないと言ってますよね。
他社はコロナを原因に市場への浸透の言い訳はそこまでない印象ですが、なぜ住友ファーマだけが4剤で市場浸透遅延が起こっているのでしょうか?
住友化学に買収されそうな気しかしないですね。。株仕込んどきますか?
2022年6月期
- 為替の影響や、ラツーダの堅調な成長で前年同期比増収増益
- オルゴビクスの欧州におけるライセンス契約に基づく⼀時⾦ ($50M)を含む
- 研究開発について、2022年5⽉以降の変更はなし!
- トルリシティの販売提携が契約終了
- 2021年度は国内で336億円の売上を誇る大黒柱
- Pierre Fabre社と欧州でのジェムテサ (ビベグロン) の独占的販売ライセンス契約を締結
- 最⼤$75Mおよびロイヤリティを受領予定
2024年度のulotaront上市 (統合失調症) は確実に達成する必要あり、今年度でラツーダの特許が切れることから投資家からは非常に心配されています。
ulotarontのPh3完了から承認〜売上最大化までの間を繋げる製品はあるのでしょうか?
ulotarontの一本足打法感は否めないですよね。。。
トルリシティの次世代品である「チルゼパチド」は田辺三菱に販売提携を取られ、さらにトルリシティ自体の販売提携が終了しました。
国内売上高の大部分を占めるトルリシティの消滅は国内ビジネスの構造を揺るがす大問題だと思います。
2022年3月期
- 大塚製薬との提携⼀時⾦収益 (303億円) により前期⽐増収
- ulotaront、SEP-4199を含む4化合物に関する⼤塚製薬との共同開発・販売に関する提携契約の締結
- スミトバント社関連の費⽤増で減益
- 中期経営計画2022は未達の見込み
- コロナ影響などで、新製品の市場浸透が遅延していることで売上高500億円の下⽅修正
- 売上高減少の影響で、コア営業利益も300億円の下⽅修正
- ラツーダは2023年2⽉に独占販売期間終了予定
- DSP-3456 (治療抵抗性うつ) をPh1試験開始
2022年に完了する中期経営計画2022は未達になることが公表されました。
また、ラツーダのUS売上高は特許切れによって2022年度から減少していく見込みです。
これからどうするのでしょうか?
パイプラインの中にラツーダクリフを埋める製品はないように思えます。
田辺三菱と同様に親会社に吸収される未来がいよいよ現実化してきた気がします。
2021年12月期
- ラツーダが流通在庫調整による出荷減や価格の低下等で34億円減収
- ブロバナの独占販売期間が終了し110億円減収
- 通期予想も、USでのラツーダの流通在庫の調整による出荷減少や価格の下振れにより、売上高を240億円分の下方修正
- DSP-1181 (強迫性障害) はPh1結果を受けて、開発中止
- DSP-7888 (膠芽腫) はPh3結果を受けて、開発中止
- SMC-01 (2型糖尿病治療アプリ) はPh3結果を受けて、開発中止
- 医療機器などのフロンティア事業が2022年度~2027年度にかけて2製品/年で上市予定
- iPS細胞医療についても2024年度に最初の製品を上市予定 (パーキンソン病)
DSP-1181はAIを用いて探索期間が12ヶ月未満と話題になった化合物です。
見事にPh1の結果が得られず、開発は中止になりました。
同様にAI創薬で同定されたDSP-0038も現在Ph1ですが、こちらはどうなるか注目です。
ラツーダの売上が少し上下しただけで売上・利益が大きく上下します。
つまり、現状の他製品でラツーダのブレすらもカバーできないということです。
さらに、ラツーダの次の柱となる開発品もない状態でどうなるかに注目です。
開発品もPh3での中止が目立ちます。
やはり田辺三菱のように親会社に吸収合併されるのでしょうか?
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