こんにちは、ティーダです。
修士卒研究職の皆さん、博士号は欲しいですか??
また、現在修士の学生さん、博士課程に進みますか?入社後に取りますか?取らないですか?
私は修士卒ですが、博士号が欲しいです!!
そこで、今回は、製薬研究職としての博士号取得 (Ph.D) について、私の周りの状況や情報収集した結果を踏まえて解説していきます。
日本の学生は修士で卒業して、そのまま製薬研究職に就く人も多いです。
そして、修士卒で入社すると大抵の会社で、
君は将来的に博士号を取る気はあるかい?
と上司に聞かれるでしょう。
しかし、入社後に博士号を取る方法や、製薬業界での博士号の扱いの実情を知らない方も多いと思います。
この記事を読むことで、「現在博士課程に進むか悩んでいる学生」や、「社会人で博士を取ろうとしている企業研究者」の参考になればと思います。
今回は特に、入社後に博士号を取ろうする方向けに解説していきます。
私も将来的に博士を取ろうと考えているので、一緒に考えを整理していきましょう!
そもそも製薬研究者に博士号は必要なのか?
結論から言うと、内資系企業で普通に研究する限りは必須ではありません。
しかし、研究者として上位役職 (主任研究員クラス) に付いたり、キャリア全てを研究職として過ごす場合は持っておかないと不都合が生じる可能性があります。
内資製薬では、博士を持っているから「あいつは優秀!」とか「頼りになる」とかはないです。
というか博士持ちか持っていないかなんて、本人に確認しないと普通分からないです。
しかし、管理職や主任研究員になる場合は博士号を求める企業もあると思います。
博士号がないと海外や外部と仕事しにくいって本当?
個人的な印象では、そんなことはありません。
メールや会議をしている限りは海外の方でも普通に対応してくれます。
しかし、自分で共同研究を結んで、ガッツリ関わる場合などでは多少不具合が生じるかも知れません。
私は博士号を取った方が良いと思う理由
私個人としては、製薬研究職でいる限りは博士号はいつかは取った方が良いと考えています。
その理由は以下の3点です。
- 転職に有利
博士号は完全に個人の実績なので、会社での実績等に関係なく、自分自身の価値をアピールできる重要な経歴です。
また、社会人で博士を取った人は、通常業務と両立した努力もアピールできます。 - 論理的思考力が鍛えられる
論文を自分で書くということは、1つのストーリーを自分で組み立てて形にする作業です。
これは創薬研究でも重要な能力で、その論理的思考力を鍛えるのに博士号取得は最適なトレーニングです。 - 新たな分野の知識を獲得できる (社会人博士の場合)
社会人で博士を取るメリットは、入社後に創薬研究に少し携わった後に、自分の研究分野を選択できる点だと思います。
課程博士を選べば、自分のキャリアに必要な全く新たな分野を学習する機会得られます。
しかし、これらの理由の人それぞれなので、自分に合った考えを整理することは大事です。
博士号を取る方法4選
現状で博士号をとる方法は大きく4パターン考えられます。
- 修士課程を卒業後、そのまま博士課程に進学
- 入社後、自主的に課程博士 (社会人博士) に入学
- 入社後、論文を複数出して、論文博士を取得
- 入社後、共同研究しているアカデミアに出向して、そのラボの博士課程に入学
それぞれメリット/デメリット等を細かく見ていきましょう!
修士課程を卒業後、そのまま博士課程に進学
これは言うまでもなく王道の博士取得方法です。
まあ、少し変えるなら、博士課程から別のラボに移動するという選択肢もありますね。
- メリット
- 学生として1つに集中して研究が進められる
- 先生の指導を受けやすい環境
- デメリット
- 就活時は修士卒以上の優秀さとコミュ力が求められる (少しハードルが上がる)
- 博士卒を敬遠する中小製薬も多少存在する
入社後、自主的に課程博士 (社会人博士) に入学
社会人で博士を取る方法の王道は最近はこれだと思います。
入学希望ラボのボスに直接連絡を取って、研究内容等をインタビューし、ラボへの入学をお願いします。
- メリット
- 自分の興味のある or 必要な分野を選択できる
- 先生の指導も比較的受けやすい
- デメリット
- 業務との両立が非常に大変
- 研究室まで通える範囲になりがち
- 学費は普通にかかる
入社後、論文を複数出して、論文博士を取得
社内での研究を論文にし、それらを用いて、博士号の授与を先生に依頼する制度です。
昔はかなり主流でしたが、2022年現在では少しずつ廃れている制度です。
そもそも大学自体が制度を導入していなかったり、受け入れる先生側にメリットが少ないことが原因として考えられます。
- メリット
- 経済的な負担が少ない
- 通学等による負担は小さい
- デメリット
- 制度自体が衰退傾向にある (大学によっては実施していない)
- 必要論文数が多い (筆頭3本とか)
- 依頼する教授との関係性が必要
- 先生の指導は基本的にない
入社後、共同研究先に出向して、そのラボに課程博士として入学
この方法は少しイレギュラーな方法です。
社内で機会が与えられれば、非常に最も有効な方法ですが、機会がなければ自分の力では選択できない手段です。
中外製薬では、阪大IFReCや東大にオンサイトラボを持っているので、かなり出向者が多いと聞いてます。
- メリット
- 業務との両立がしやすい
- 先生の指導を受けやすい
- デメリット
- 機会があるかは運次第
入社後、博士号を取る際に心がけるべきこと
ここでは、社会人で博士を取ろうとする場合に、個人的に気を付けるべきと思うことを紹介します。
前提として、課程博士として入学することを想定しています。
安易に取ろうとしない
社会人での博士取得はかなり過酷です。
日常生活や業務、ライフスタイルの変化などのバランスを考えることが大事になります。
さもないと、せっかく入学したのに全然研究が出来ず、期限を迎えてしまいかねません。
私も最近子供が生まれたこともあってライフスタイルに変化が出ているので、少し機会を伺っています。
強み構築に繋がる分野を選ぶと良い
せっかく全く新しい分野を学ぶ機会になるので、自身のキャリアで有用な研究を始めましょう!
そのためには業務の延長線上ではなく、第二の柱としてシナジーを生みだせる分野だと良いですよね。
例えば、ウェット研究だけの方ならドライ研究をしてみたり、クライオ電顕などの最先端技術を学べる分野等は面白いでしょう。
本当に自分に必要なのかは熟考すべし
そもそも、「自分にとって博士号は本当に必要なのか?」を考えるのは重要なことです。
なんとなくで入学すると途中で断念してしまうかも知れません。
正直、大手製薬でぬくぬく研究をしていく限りでは必要ないかも知れません。
自分にとって仕事は二の次で、プライベートをより充実させたいのならば、博士号は必須ではないと思います。
最後に
先日、落合陽一先生が以下の様なツイートをして注目されていました。
「博士を取るメリットはなんですか?」と聞かれると「メリットデメリットで考える君は取らなくてよろしい」と答えたくなる心を我慢していうならば「私の興味の探求のお客様は,あなたたちでもなく私でもなく,私を育んだ生命知の歴史の積み重ねです」と思い行動できるようになることだと思います.
— 落合陽一 Yoichi OCHIAI (@ochyai) May 18, 2022
私は、落合陽一先生のような素晴らしいお考えよりは、少し打算的な考えで博士を取ろうと考えています。
しかし、再び学び直す機会というのは大人になってからは非常に楽しい体験になると私は思います。
また、 近年の日本では、博士課程修了者に対してネガティブなニュースが多いです。
しかし、製薬研究職として活躍するためには博士号は大切な学位だと思います。
私も近いうちに博士課程に入学して取得を目指すつもりです。
一緒に頑張っていきましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
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