こんにちは、ティーダです。
この記事では、武田薬品工業の各期決算を簡単にまとめた内容を随時追加しています。
この記事によって、武田薬品工業の動向を経時的に観察できます。
経時的に観察することで会社の将来も外挿出来るでしょう!
2022年12月期
- 売上高は3兆713億円 (13.9%増) と2桁増収
- 成長製品・新製品の+20%成長 (CERベース) が牽引し力強く成長
- QDENGA (デング熱ワクチン) は、EUで4歳以上を対象に承認、FDAの優先審査に指定
- フルキンチニブ (VEGFR1/2/3阻害) の独占的ライセンス契約をHUTCHMED社と締結
- 経口TYK2阻害薬であるNDI-034858を会社ごと40億ドル+売上に応じたマイルストンで取得
- 武田/ノババックス社のコロナワクチンについて政府による購入がキャンセル。通期予想は500億円で変更なし
- パイプラインの進捗
- 先天性血栓性血小板減少性紫斑病 (cTTP) におけるTAK-755 (Ph3中間解析) で有効な結果
- 造血幹細胞移植後のCMV感染におけるLIVTENCITY (Ph3) で主要評価項目は未達も、臨床的に意義のある効果を確認
- α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患 (AATD-LD) におけるTAK-999 (fazirsiran) (Ph2b) で良好な結果。Ph3に進む
- TAK-861 (ナルコレプシー) は、Ph2に進むための事前に設定した基準を満たした
TAK-279は選択的なTYK2阻害剤で、既にBMS社の製品が同ターゲットについて乾癬で承認を取っています。
他社も開発が活発なターゲットですが、TAK-279はベストインクラスを狙えると考えているようです。
詳しくはAnswersNewsさんのこちらの記事を!
また、TAK-994で失敗したナルコレプシーへの挑戦について、TAK-861がリベンジを期待です。
TAK-279は、2025-27年度に承認予定らしく自己免疫領域で強力な柱になりそう
投資家質疑への返答
- TAK-341 (多系統萎縮症) の試験はPh1はアストラゼネカ社が担当しているが、Ph2~Ph3は武田が管理することになっている
- TAK-861 (ナルコレプシー) はTAK-994よりも半減期が長く、低用量で作用する新しい薬剤。現時点では4週間投与で肝毒性は出ていない。
- TAK-279 (TYK2阻害剤) は3月にPh2b結果を発表予定。
2022年9月期
- エンタイビオ、タクザイロ、免疫グロブリン製剤を含めた成長製品・新製品はCERベースで+19%の成長し、売上収益を牽引
- EXKIVITYおよびLIVTENCITYの順調な立ち上がり
- 多発性骨髄腫治療剤 ベルケイドは、後発医薬品が米国市場に参入してきたことで、208億円(62.2%減)
- 前年同期に帝人ファーマへの国内糖尿病事業譲渡とより1330億円を計上した反動がある
- デング熱ワクチンQDENGA®がインドネシアで初めて承認、欧州でも肯定的見解
- セリアック病治療薬の開発について、Zedira社およびDr. Falk Pharma社とライセンス契約を締結
- TAK-920 (アルツハイマー病) に対して、TREM2を標的とした抗体療法のPh1を開始
エンタイビオのピーク時売上高予測を75~90億ドルに引き上げ
従来エンタイビオの売上予想は55~65億ドルでしたが、同剤が炎症性腸疾患市場で地位を確立していることや、シェアが継続して伸びているため修正しました。
また、同剤のバイオシミラー参入についても2030年までにBSが発売される可能性は極めて低く、2032年まで遅れる可能性もあると言っています。
エンタイビオは1兆円の薬になりますね!
2022年6月期
- 成長製品・新製品はCERベースで26%成長し、売上収益を牽引
- LIVTENCITY (CMV治療) 、EXKIVITY (NSCLC治療) は米国における上市以降、堅調な立ち上がり
- TAK-003 (デング熱ワクチン) のPh3試験では4.5年間にわたるデング熱予防効果を示した
- 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 (CIDP) の維持療法として、HyQviaはPh3において良好な結果
- Momenta社から、高シアル化免疫グロブリン (hsIgG) を導入
- TAK-994 (ナルコレプシー) を完全に開発中止
とうとう、TAK-994の開発が中止されました。
こちらは武田では珍しい自社創製品で、ブロックバスターを期待された製品でした。
2021年10月にPh2で安全性懸念が生じ、開発が中断しており、とうとう今期中止が発表されました。
武田薬品は、1990年代に上市したタケプロン、プロプレス、アクトス、リュープリン以降、1つとしてヒットした自社製品を出せていません。
そんな中、ナルコレプシー治療薬であるTAK‐994とTAK‐925によって、長年の汚名を挽回出来るはずでした。
しかも、既に研究主力がボストンに移ったにも関わらず、湘南研究所から生み出された上記2製品によって、日本の研究所の存在価値を示す期待もありました。
しかし、結果としてTAK-994は失敗していまい、TAK-925はまだPh1です。
今後、湘南研究所はどうなってしまうのでしょうか?
(一応まだ湘南研究所では新卒募集しているようですね。。。。)
2022年3月期
- 売上高は増収も、円安で販管費や研究開発費が増加したことが影響し、営業利益は減少
- エンティビオは5,218億円の売上 (+22%増)
- 単年度では最多の新規候補物質の承認を取得
日本(4件)、中国(3件)、米国(2件)、欧州(1件) - Novavax社のコロナワクチンについて、日本における初回接種および追加接種での承認取得
- TAK-609 (ハンター病) は開発中止
- TAK-755 (免疫性血栓性血小板減少性紫斑病) はPh2完了、PoC試験へ移行
- TAK-906 (糖尿病性胃不全麻痺) を開発中止
- JCRファーマとの血液脳関門通過技術を用いた遺伝子治療について共同開発締結
ベルケイド (売上1100億円) とビバンセ (売上3271億円) のUS特許が近日中に満了することが懸念されています。
しかし、現状の成長製品10品と新製品の勢いによってそのマイナス影響を克服できることを強調していました。
財務状況に対して投資家が不安に思っているため、その不安を払拭するような資料作りをしている印象でした。
2021年12月期
- ENTYVIO® (エンタイビオ) のバイオシミラーの販売は特許終了直後にはない見込み
- Novavax社のワクチンについて、既に政府との購入契約完了。2022年初頭の供給見込み
- 移植後の難治性サイトメガロウイルス(CMV)感染に対してLIVTENCITYがFDA承認
- TAK-721 (好酸球性食道炎) の開発プログラムを中止
- γδT細胞エンゲージャー療法の開発をさらに加速させるため、Adaptate Biotherapeutics社を買収
エンタイビオ (現在売上約4000億円) は2026年にUSでバイオシミラーの参入がある想定でした。
しかし、そのタイミングでのBS製品上市はなく、2032年頃まででの特許満了まで売上を順調に伸ばせる見込みです。
また、最近流行のエンゲージャー療法に今後展開していく計画ですね!
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