こんにちは、ティーダです。
この記事では、アステラス製薬の各期決算を簡単にまとめた内容を随時追加しています。
この記事によって、アステラス製薬の動向を経時的に観察できます。
経時的に観察することで会社の将来も外挿出来るでしょう!
以下の記事も参考にして下さい!
2022年12月期
- 円安も影響し、売上高は1兆1643億円 (17.3%増) 。為替影響を除いても増収。
- イクスタンジ、パドセブ、ゾスパタなど主力品が売り上げに貢献
- エベレンゾは下方修正した通期予想に対しても、予想を下回る
- ゾルベツキシマブやXyphos 社由来開発プロジェクトの公正価値の増加分により、フルベースの利益は下方修正
- 社長が安川健司氏から、副社長の岡村直樹氏に交代
- ゾルベツキシマブについてPh3で主要評価項目を達成し、グローバルで2023年度前半に申請予定
- ASP1002 (二重特異性抗体) をPh1開始予定
- AT845 (ポンペ病) が臨床試験差し止め解除
- AT132 (XLMTM) の臨床試験再開は継続して議論。現時点では投与再開は2024年度以降になる見込み
- ヒトIgGを特異的かつ効率的に分解する次世代IgGプロテアーゼで、AAV8に対する抗体を除く技術を獲得
AT845の臨床試験が再開します!
臨床試験の改定として、ニューロパチーの既往歴、あるいはリスク因子を有する被験者を除外すること、もう一つは安全性モニタリングを追加することになりました。
個人的には、ゾルベツキシマブ (抗Claudin18.2抗体) のPh3成功がかなり大きいように思います。
2016年にドイツのGanymed社を4億2,200万ユーロで買収して獲得した製品になります。
ゾルベツキシマブの市場価値は1000~2000億円と予想されており、イクスタンジクリフの克服に大きく貢献する製品になりそうですね!
アステラスは買収で結構外しているイメージでしたが、これは正解!!
2022年9月期
- 売上収益は前同比較で17%増加、為替影響を除くと期初予想に沿った進捗
- XTANDI:コロナの影響もあり、米国では予想を下回るが、欧州と日本が好調に推移しており、下振れをカバー
- 重点戦略製品:日本を中心に好調なパドセブは予想を上回る推移 (454億円)
- パドセブ (胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん) 、XTANDI (非転移性去勢感受性前立腺がん) がFDAからファストトラック指定取得
- fezolinetant:
- US:審査終了目標日は2023年2月22日
- EU:販売承認申請受理 (2022年9月)
Ph3のDAYLIGHT試験の症例組み入れ早期完了(2022年10月)
- 遺伝子治療のパイプライン拡充に向けて、Taysha Gene Therapies社と戦略的提携
- TSHA-102、TSHA-120の独占的ライセンスに関する独占的オプション権
- 運動支援アプリ(バンダイナムコエンターテインメントとの共同開発): 開発中止
Primary Focusである標的タンパク質分解誘導について取り組みを詳しく紹介しています。
Taysha社と5000万ドル (約70億円) で戦略的提携を開始しました。
あと、HPが刷新されて見やすくなってますね!
また遺伝子治療企業を買収していますが、今まで失敗してきた会社との違いは何なんでしょうね?
2022年6月期
- XTANDIおよび重点戦略製品の売上は前同比較で26%の伸長
- 為替の影響で営業利益が減少したが、為替影響を除けば想定通り伸長
- パドセブとPD-1抗体の併用試験で、有効性および安全性を示す、良好なトップライン結果を取得 (EV-103試験)
- fezolinetantは、FDAに新薬承認申請を提出 (6月22日)
- 臨床データの公表や啓発活動も順調に進展中
- AT845において、重篤な有害事象によって、FDAから臨床試験の差し止め
- 現在対応中、2022年度第4四半期に回答提出予定
- 細胞医療ASP7317 (加齢黄斑変性) が臨床試験再開
- PROTAC技術を用いたASP3082 (KRAS G12D変異体) でPh1試験開始
遺伝子治療については、AT132は差し止め、AT702, AT751, AT753は開発中止が決定しています。
しかし、今回AT845が差し止めを受けたことで、現在臨床開発している遺伝子治療製品はなくなりました。
今後も遺伝子治療へのコミットは続けていくとのことでしたが、根本的な課題が存在する可能性がいよいよ顕在化してきた気がします。
PROTACプログラムであるASP3082のターゲットがKRAS変異体であることが公表されました。
PROTAC技術自体はPrimary Focus候補の技術として以前から挙げられていましたが、ターゲットが判明したのは今決算で初めてです。
KRASは中外製薬の中分子luna18でも狙われているターゲットで、海外でも複数取り組まれています。
KRASでは変異体が複数あり、変異体単体を狙った方が良いのか、ブロードに阻害するのが良いのか議論が分かれている標的です。
2022年3月期
- 3期ぶりの増収 (4%増)。通期予想に対しては未達。
- イクスタンジは5343億円 (16.6%増) 、2022年度は6425億円 (20%増) を見込む
- 遺伝子治療薬 AT132の開発計画の見直し (312億円) 、DNAワクチン ASP2390の開発中止(113億円) 、GITR抗体 ASP1951の開発中止 (52億円) で、合計約500億円の損失を計上
- fezolinetantは、MOONLIGHT 1試験 (アジア) およびSKYLIGHT 4試験 (US) の結果を取得
- ミトコンドリア領域のASP1128 (PPARδ調節薬) を開発中止
- デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象としたAT702、AT751、AT753を開発中止。
来期、約200億円の損失計上予定。
ASP1951, ASP1948, ASP8374は全てポテンザ社を2018年買収時に獲得した製品ですが、今期までで開発は全て失敗したことが明らかになりました。
また、オーデンテス社の買収時に獲得した、AT132は開発差し止め、AT702, AT751, AT753は開発中止。残りはAT845とAT466のみです。
これは買収時のパイプラインの見極めが甘いと思われても仕方ない気がしますね。
fezolinetantについては、MOONLIGHT 1試験はPoC未達、SKYLIGHT 4試験はPoC達成という結果です。
会社的には、MOONLIGHT 1試験はアジア実施の非米国INDの試験のため、FDAの承認審査には影響ないと考えています。
Ph1試験進行中のASP1570は低分子DGKζ阻害剤だそうです。
このターゲットは、ギリアドとカルナバイオ社の共同開発品と同じターゲットになります。
BMSなどの競合も入っているので、有意性を示す必要がありますね!
2021年12月期
- セレコックス、リピトール、エリガードの販売終了による売上減少を、XTANDI (20%up 4116億円) 、ゾスパタ、パドセブ、エベレンゾといった製品の成長でカバーした (+500億円)
- 1000名規模のMR要員が減少(日本、欧州、米国、中国、韓国等)することで、180億円/年の費用削減予定
- ASP2138 (Claudin18.2 + CD3の二重特異性抗体) のPh1を2022年4-6月に開始予定
- ASP1948 (抗NRP1抗体:Treg除去) をPoC未達により開発中止
- ASP0739, ASP7517 (aAVC) の最初の患者への投与完了
- ASP5354 (蛍光造影剤) のPh2結果取得。Ph3へ進む
XTANDIの売上が順調に進捗しています。
しかし、2027年にXTANDIパテントクリフがある中で、Ph2以降の開発品が少し乏しい様子です。
Focus Areaアプローチの開発品も2025年度を目処に開発後期に入れたいとのことですが、実際の売上が経つのは2030年以降になるので、クリフをどう乗り越えるのでしょうか?
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