こんにちは、ティーダです。
今回は、再生医療に対して独自アプローチをする「ステムリム社」の現状と将来性について徹底解説します。
同社は、近年社運を賭けた1剤でPh2~3をしているバイオベンチャーです
ここで成功して大型化するのか?失敗して敗走するのか?が近日中に判明します
治験データが出るたびに乱高下する株価こそがバイオベンチャーの醍醐味!!
参考にしたのは、以下のIR資料とHPです。
ステムリムの成り立ちと沿革
同社は、大阪大学医学部の玉井克人教授らが同定した骨髄多能性幹細胞動員因子を基に、2006年に設立されました。
2010年に塩野義製薬と契約し、大型共同研究にこじつけ、研究施設などを拡大しています。
2015年から自社品の医師主導治験を開始しました。
2019年には、マザーズ (今はグロース) に上場を果たしています。
- 平均年収は667万円 (平均年齢38.4歳、平均勤続年数3.7年)
職員は74人ですが、60人が研究員で、その半数がPh.D持ちとのことですね (2022年8月時点) - 時価総額は621億円 (2023年3月時点)
創薬戦略とビジネスモデル
同社は、他のバイオベンチャーと同様に候補物質の同定や、作用メカニズムの解明など、基礎的な部分を担当し、非臨床試験などからは製薬企業にライセンスアウトする戦略です。
現在はレダムセチドについて、塩野義製薬と大型契約をしています。受領済みの総額は約48億円
純粋な医薬品研究だけで生計を立てているストイックな企業です!
ステムリムの強み:再生誘導医薬
ここでは、同社の基盤技術である再生誘導医薬の基礎となるメカニズムを紹介します。
発見経緯&メカニズム
玉井先生は、表皮水疱症 (皮膚で水ぶくれや潰瘍が生じる病気) 患者で、表皮幹細胞が一度喪失したにも関わらず、表皮が再生することに着目しました。
ここから、欠損皮膚組織に表皮幹細胞を供給するメカニズムを解明し、その中でも重要な因子HMGB1を見出しました。
再生誘導医薬の優位性
適応症の拡大余地が大きい
再生誘導医薬で誘導されるのは、外胚葉性由来の間葉系幹細胞なので、外胚葉由来の臓器に対しては発生学的には適応拡大出来ると考えています。
これ以外にも、NASH、ALS、脊髄損傷などにも適応出来ると考えています
細胞療法に対する優位性
再生医療として似て考えられるのは、iPS細胞などを用いた細胞医療かと思います。
細胞医療に比べて再生誘導医薬の優位な点としては以下があります。
確かに、ペプチドなら工業生産出来るし、コストなどのハードルは大きく下がりますね。
開発品の現状
ここでは、注目すべきパイプラインを簡単に紹介します。
レダセムチド
ステムリム社の命運を握っているのはレダセムチドです!!
レダセムチド以外は正直まだまだ前臨床すぎて、何も分かりません。
表皮水疱症 (追加Ph2実施中)
表皮水疱症では、医師主導Ph2試験が終了しており、全9例を見ると有意な改善が認められています。
特に4例で、画像でも明確に潰瘍部分が閉鎖していることが分かります!
プラセボがおけないのが難点ですが、明確に閉鎖しているのは凄い!!
この疾患は希少疾患であることから、追加Ph2試験を踏まえて、申請を見込んでいます。
現在は3例以上を目標に追加試験を実施中です。
急性期脳梗塞 (グローバルPh3準備中)
急性期脳梗塞では、塩野義製薬主導でPh2試験 (150例) が完了しています。
結果としては、有意差は認められていませんが、レダセムチド投与群で脳梗塞後の介助不要患者が増加する傾向が認められました。
それを受けて、現在症例数を約10倍にしたPh3試験を実施する予定です。
投与条件が難しいけど、成功すれば需要はありそう!
変形性膝関節症 (医師主導Ph2準備中)
この疾患では、Ph2試験 (10例ずつ) の速報が出ています。
- 安全性の確認がOK
- 手術後の欠損部位の縮小と軟骨再生の所見が認められた
まだまだ症例数が少ない試験なので有効性は見えていませんが、今後を期待出来る状態だと思います。
個人的な見解
正直、再生誘導なんて出来るわけない!と思ってた
再生医療とか、iPS細胞とかって実用化はまだまだ先で、実用化しても超特殊な病気・患者にしか使えないと思ってました。
実際、ミューズ細胞も似たような疾患をターゲットにしてるけど、開発中止してるし。。。
しかし、表皮水疱症が治っているのを画像で見ると本当に効いてるのかな?って思っちゃってます。
もしこれが上手くいったら世界的にこの分野への参入も増えるんですかね?
レダセムチドが転けたら終わり、、、
逆に、ステムリム社のパイプラインはレダセムチド一択なので、これが転けたら再起は大変でしょう。。。
再生誘導医薬を基本コンセプトに掲げている時点で、その試金石が転けたら後続品も転けそうですよね。
さて、最初の表皮水疱症の追加試験終了後に申請が通るかどうかが大きなターニングポイントになります!
最後に
今回は、再生誘導医薬のステムリム社について、解説してきました。
レダセムチドが化ければ成長、コケれば転落という非常にスリリングな状態にいる企業です。
是非、今からの動きを注視していってください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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