こんにちは。ティーダです。
先日の2022年10月24日から11月8日で、「主要内資製薬会社の決算」が出そろいましたね
今回も各社の決算内容をざっくりまとめた上で、各社の注目トピックを厳選して紹介していきます!
個人的な視点も含めて紹介していきます!
以前までの決算のまとめ記事もあるので、経時的に見れば製薬業界全体の流れや各社のニュースを追えるようになると思います!
継続的に一緒に勉強していきましょう!!
各社の決算一覧まとめ
こちらが主要内資製薬企業の決算まとめです。(売上高、営業利益、通期予想)
やはり全体的に円安の影響で売上・利益ともに増加している企業が多いですね。
また、通期の売上についても上方修正している企業が多いです。しかし、円安によって開発費などが大きくなるため、利益については据え置いている企業が多いですね。
しかし、中には「為替抜きでも増収している企業」と「為替のみで増収している企業」の2つがあります。
それぞれが本当に好調な企業なのかを今回の決算まとめから判断していってください!
住友ファーマに関しては大きな減損計上で赤字になっています。
各社の厳選注目トピックス
ここでは説明会資料を全て見た私が厳選した「各社の注目トピック」について簡単にまとめていきます。
武田薬品工業
- エンタイビオ、タクザイロ、免疫グロブリン製剤を含めた成長製品・新製品はCERベースで+19%の成長し、売上収益を牽引
- EXKIVITYおよびLIVTENCITYの順調な立ち上がり
- 多発性骨髄腫治療剤 ベルケイドは、後発医薬品が米国市場に参入してきたことで、208億円(62.2%減)
- 前年同期に帝人ファーマへの国内糖尿病事業譲渡とより1330億円を計上した反動がある
- デング熱ワクチンQDENGA®がインドネシアで初めて承認、欧州でも肯定的見解
- セリアック病治療薬の開発について、Zedira社およびDr. Falk Pharma社とライセンス契約を締結
- TAK-920 (アルツハイマー病) に対して、TREM2を標的とした抗体療法のPh1を開始
エンタイビオのピーク時売上高予測を75~90億ドルに引き上げ
従来エンタイビオの売上予想は55~65億ドルでしたが、同剤が炎症性腸疾患市場で地位を確立していることや、シェアが継続して伸びているため修正しました。
また、同剤のバイオシミラー参入についても2030年までにBSが発売される可能性は極めて低く、2032年まで遅れる可能性もあると言っています。
エンタイビオは1兆円の薬になりますね!
大塚製薬
- 売上収益は、グローバル4製品とNC関連事業の増収により、14.3%増収
- グローバル4製品は前年比26.0%増の4545億円
- 売上収益は増加したが、営業活動再開に伴う活動費の増加、一過性要因の影響および積極的な研究開発投資の結果、事業利益は19.4%減
- レキサルティについて、大うつ病を対象とした国内Ph3で主要評価項目達成
- ロンサーフについて、ベバシズマブ併用の進行・再発大腸がんを対象としたPh3で主要評価項目達成
- OPC-64005 (大うつ病) 、AVP-786 (外傷性脳損傷) 、センタナファジン (禁煙) の開発中止
大阪の阪大近くにクライオ電顕付きの新たな研究所がオープンしたそうですね。
これによって徳島に行きたくない研究者が大塚製薬に興味が出ると良いのですが。。
大塚製薬自体は阪大IFReCにも出資しており、新しい研究所でも免疫系にも力を入れていくのでしょうか?
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4578/ir_material_for_fiscal_ym/124929/00.pdf
アステラス製薬
- 売上収益は前同比較で17%増加、為替影響を除くと期初予想に沿った進捗
- XTANDI:コロナの影響もあり、米国では予想を下回るが、欧州と日本が好調に推移しており、下振れをカバー
- 重点戦略製品:日本を中心に好調なパドセブは予想を上回る推移 (454億円)
- パドセブ (胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん) 、XTANDI (非転移性去勢感受性前立腺がん) がFDAからファストトラック指定取得
- fezolinetant:
- US:審査終了目標日は2023年2月22日
- EU:販売承認申請受理 (2022年9月)
Ph3のDAYLIGHT試験の症例組み入れ早期完了(2022年10月)
- 遺伝子治療のパイプライン拡充に向けて、Taysha Gene Therapies社と戦略的提携
- TSHA-102、TSHA-120の独占的ライセンスに関する独占的オプション権
- 運動支援アプリ(バンダイナムコエンターテインメントとの共同開発): 開発中止
Primary Focusである標的タンパク質分解誘導について取り組みを詳しく紹介しています。
Taysha社と5000万ドル (約70億円) で戦略的提携を開始しました。
あと、HPが刷新されて見やすくなってますね!
また遺伝子治療企業を買収していますが、今まで失敗してきた会社との違いは何なんでしょうね?
https://www.astellas.com/en/system/files/2q2022_pre_jp_00.pdf
第一三共
- エンハーツを中心とした売上拡大、為替影響により増収増益
- 長期収載品を譲渡することで、新薬を軸とした収益構造へ変化
- 2022年8月 仲裁廷がSeagenの主張を全面的に否定する判断
- 本仲裁判断により、Seagenの主張は退けられ、ADC技術に関する知的財産権をこれまでどおり保持し、今後もADC製品の開発および商業化が可能
- エンハーツは堅調
- FY2022 予想 1952億円 (前年比1299億円増)
- 2022年8月、米国でHER2遺伝子変異NSCLC二次治療以降を対象とした承認取得
- Dato-DXdは新たな試験が開始
- TROPION-Lung02試験で有効性・安全性について良好な中間解析結果
- PD-L1 <50%の非扁平上皮NSCLC患者の新規Ph3試験 (TROPION-Lung07試験) を開始予定
- HER3-DXdも新たな試験が開始
- TKI治療後の EGFR遺伝子変異を有する転移性NSCLC患者を対象としたPh3試験を8月に開始
- DS-5670 (新型コロナmRNAワクチン)
- 2022年11月追加免疫試験において主要評価項目を達成!承認申請はFY2022中を予定
新型コロナワクチンDS-5670について、追加接種による有効性・安全性を評価したPh1/2/3試験で、既存ワクチンとの非劣性を示しました!
塩野義や田辺三菱と異なるのは、オミクロン株対応ワクチンなどにも素早く対応出来る点ですね!
臨床試験やり過ぎてADC以外の領域への基礎研究に回すお金がなさそうですね笑
まあ、今はADCにツッコむのが正しい!
中外製薬
- 好調な新製品とロシュ向け輸出等の伸長がROOIの減少を大幅に上回り、増収増益
- 国内売上 (ロナプリーブを除く) は、後発品や薬価改定影響を受ける中、新製品により増収
- 海外売上は、数量増加が輸出単価の低下を大きく上回り、大幅増収
- ロナプリーブは10月-12月に政府納入を控えている
- テセントリクの腎細胞がんへのアジュバント療法Ph3を中止
- NXT007 (血友病) のロシュへの導出
- DONQ52 (セリアック病) のPh1、エンスプリングの2疾患へのPh3、RG6330 (KRAS G12C阻害剤) /RG6433 (SHP2阻害剤) のPh1開始
今期臨床入りしたDONQ52 (セリアック病) はHLA-DQ2.5/グルテンペプチド複合体に対するバイスペシフィック抗体で、以下の様な特徴を持ちます。
- T細胞受容体とHLA-DQ2.5/グルテンペプチド複合体の結合を中和するT細胞活性化を阻害
- セリアック病の主要因となる全てのドミナントペプチドを含む25種類以上のグルテンペプチドに結合可能
https://www.chugai-pharm.co.jp/cont_file_dl.php?f=FILE_5_61.pdf&src=[%0],[%1]&rep=119,61
エーザイ
- 前年期比91%の大幅減益。しかし、下期に巻き返す計画
- 「その他事業の売上高」に計上されるはずだった収入が下期にズレたこと、昨年のこの時期はBMSからの契約一時金496億円を受け取っていたことが原因
- さらに、レンビマ関連の販管費やレカネマブへの資金投入によって減益
- 医薬品の売上高は順調に進捗 (グローバルブランド4品は138%増)
- レカネマブについては、価値最大化に向けた複数試験が進行中
- 承認審査は現在も順調に進行中
2022年11月、ロシュのAβ抗体ガンテネルマブのPh3試験が失敗しました。
やはり、Aβ抗体だからといって全て成功する訳ではないようですね!エーザイの臨床試験のデザイン力などが素晴らしかったのでしょう!
今後のアルツハイマー関連の後続プロジェクトとしていつもの以下3製品が紹介されています
パッと資料を見ただけでは大幅減益の原因が分からないのが不親切ですね笑
https://www.eisai.co.jp/ir/library/presentations/pdf/4523_221107.pdf
今回は開発品関連の新情報は少ないので、下の記事を見れば大丈夫です!
住友ファーマ
- 為替の影響やラツーダの堅調な成長で前年同期比増収したものの、パーキンソン病治療薬・キンビモによる減損544億円によって大幅の赤字転落 (-289億円)
- キンビモは、シナプサス社を約659億円で買収して獲得した製品。収益予測を⾒直した結果、減損損失として約544億円を計上
- 通期の営業利益も300億円の赤字に修正
- 連結⼦会社マイオバント社の完全⼦会社化に合意
- ulotaront (⼤うつ病補助療法) のPh3開始、DSP-0378 (ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群) のPh1開始
- DSP-6745、DSP-7888、TP-0903は開発中止
3ヶ月後 (2022年2月) にラツーダ特許が切れることから、来期も赤字の可能性が非常に高いらしいです。
キンビモについては、新型コロナ影響で上市環境が整わなかったことを理由にしています。
しかし、現在の注力3製品 (オルゴビクス、マイフェンブリー、ジェムテサ) についても市場への浸透がコロナ影響で上手くいっていないと言ってますよね。
他社はコロナを原因に市場への浸透の言い訳はそこまでない印象ですが、なぜ住友ファーマだけが4剤で市場浸透遅延が起こっているのでしょうか?
住友化学に買収されそうな気しかしないですね。。株仕込んどきますか?
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/ir/news/pdf/ir20221031.pdf
田辺三菱製薬
- ラジカヴァ、ステラーラの好調によって増収・増益
- ステラーラは310億円 (34.2%増)、ラジカヴァは197億円 (57.5%増)
- メディカゴ社の新型コロナワクチンでは、未だ生産上の問題を解決出来ておらず、課題解決の目処もまだ立っていない。
コロナワクチンは政府買い上げのビジネスであるため、カナダ政府とも連絡を密に取りながら、どのようなやり方がいいのか相談している状況
開発品の進捗が全くないことからも、中小やベンチャーと同じような研究進捗ペースになっているな。。。
武漢株のワクチンで手こずっているとこのまま中止の可能性もありますね。。。
メディカゴ社の事業計画も変わるようですし、どうなるのか?
https://www.mitsubishichem-hd.co.jp/ir/pdf/01057/setsumeishiryou.pdf
協和キリン
- グローバル3製品を中心に、増収増益!
- クリースビータについて、2023年4月27日以降は、協和キリンが北米地域のプロモーション活動を行い、売上に応じたロイヤルティをUltragenyx社に支払う (20%台中~後半)
- KHK7791の透析中の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善に対する国内Ph3で主要評価項目を達成 (ピーク時は売上高500億円未満)
- KHK7791は Ardelyx社によって創製されたファーストインクラスのリン吸収阻害剤で、協和キリンは国内での開発販売権を持つ
クリースビータの販売を北米でも協和キリンが出来るようになります。
これによって、海外でのプレゼンスをもっと上げて成長出来ると良いですね!
小野薬品工業
- 主力のオプジーボやフォシーガが2ケタ成長して好調なことと、円安によって過去最高の増収・増益
- 22年度上期の製品商品売上は1449億円で、オプジーボとフォシーガで6割以上を占める
- オプジーボは、日本で11がん種23レジメンを持ち、胃がんが中心になる可能性がある。
- 業績のピークは2025~26年度の見込みが強い
- 国内年間200億円強のグラクティブが2025年秋~26年に特許満了
- メルク社からのキイトルーダに関するロイヤルティ収入、ロシュ社からの抗PD-L1抗体に関するロイヤルティ収入が2026年末で終了
- ファシーガの2型糖尿病に対する適応が2025年4月に特許満了
- ONO-7018 (非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病のPh1開始
オプジーボは現在売上高1500億円、ロイヤルティ収入1000億円の超大型製品ですが、その特許満了は2031年が見込まれています。
オプジーボクリフへの対応としては複数の新薬をグローバルで上市することを考えているそうです。
現在、米国で6プロジェクト、欧州で3プロジェクト開発中です。
そりゃ海外で新薬出すのは当たり前だけど、それが難しいじゃない?
塩野義製薬
- 売上高は増収したが、開発費増加やインフルエンザ薬返品により減益
- 新型コロナ関連への投資で研究開発費が前年同期比72.9%増 (487億円)
- ゾフルーザとラピアクタについて、使用期限が切れる約53億円分の返品を計上
- 新型コロナ関連の売上は下期に見込む
- ゾコーバ (S-217622)
- Phase 2/3試験Phase 3 Partにおいて主要評価項目を達成
- 11/22に緊急承認の可否を再度審議!YouTubeライブも配信!
- COVID19ワクチン (S-268019)
- 2022年内、早ければ11月末にも承認申請を予定
- インチュニブとビバンセに関する武田薬品とのライセンス契約終了
- 変形性膝関節症に対する疼痛治療薬Resiniferatoxinに関するGrünenthal社とライセンス契約
ゾコーバについて、来週11/22の17時から緊急承認制度の適応について審議があるそうです!!
前回はほぼ満場一致で否決されましたが、今回はPh3の結果をもってどのような議論がされるのか気になりますね!
特に山梨大学の島田先生の発言に注目ですね!!
前回の会議の議事録は以下です。
インチュニブとビバンセに関するライセンス契約がなくなったことから、塩野義の国内MRが売るものがほとんど無くなりましたね。。。。
これはMR大削減が起こるのでは??
塩野義の運命もMRの運命もゾコーバが握ってますね笑
ワクチンの出す出す詐欺もそろそろ通用しないのでは?
最後に
さて、今回は主要製薬企業の2022年9月期の決算をまとめました。
今決算付近で最も注目すべき話題は以下の5つだと思います。
各社の内容には関連する当ブログの記事もあるので是非読んで理解を深めてください!
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました!
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